1998 Fiscal Year Annual Research Report
噴霧生成機構のモデル化と噴霧流動の数値シミュレーション
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09650217
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
稲村 隆夫 弘前大学, 理工学部, 教授 (10143017)
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Keywords | 数値シミュレーション / 液体噴流 / 液体微粒化 / 安定解析 / 分裂機構 / 波発生 / ロケットエンジン / 微粒化特性 |
Research Abstract |
本研究は,流れが比較的単純な単孔気流噴射弁を用いて液噴流の分裂過程を観察し,これらの観察結果をもとに気液界面の乱れの初生,乱れの成長過程をモデル化し,さらに噴霧流動の数値シミュレーションを行い汎用性のある数値シミュレーション手法を確立することを目的としている。まず噴流内部の乱れをランキン渦で模擬し,渦の特性が液噴流表面の乱れの初生にどのような影響を与えるかを数値シミュレーションによって調べた。その結果,界面を減速する向きに回転する渦が乱れの初生に大きく関与し,乱れの波長はそれらの渦間隔により決定されることを明らかにした。 また,周囲気流速度は生成した乱れの成長に大きく関与することを明らかにした。実験については,壁面,表面張力等の影響により二次元流れを実現することが難しいことが判明したため,軸対称流れによって乱れの生成過程,液噴流の分裂過程を観察した。その結果,液噴流の分裂には微細な軸対称波ならびに比較的大きな非軸対称波が関与していることが分かった。これらの観察結果をもとに,液噴流の分裂モデルを作成した。液噴流表面からの液滴生成には全ての波長範囲の軸対称波が関与し,液噴流自身の破断には,最も成長速度の大きな非軸対称波が関与すると仮定した。 このモデルを用いて液滴生成のシミュレーションを行った結果,分裂長さを除けば実験と比較してほぼ妥当な結果が得られた。最後にこれらのモデルを用いて噴霧流動の数値シミュレーションを行った。その結果,気流速度,液滴速度,液滴平均粒径等については実験値と比較してほぼ妥当な結果が得られた。ただし,噴霧の半径方向への拡散については予測値は実験値よりも小さな値となった。これは,液滴生成時の液滴速度評価,液滴の乱流拡散モデルに原因があると思われる。今後は以上の問題点を解決するとともに,液流内部の乱れと液噴流表面の乱れの関係をモデル化する必要がある。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 蔦川武仁: "気液同軸噴流の界面不安定性" 日本航空宇宙学会北部支部1998年講演会前刷集. 73-78 (1998)
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[Publications] 稲村隆夫: "液柱表面における乱れの初生と成長のモデリング" 第76期日本機械学会全国大会講演会前刷集. 83-84 (1998)
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[Publications] 稲村隆夫: "静止空気中での液噴流表面の挙動に関する数値シミュレーション" 日本機械学会論文集(B編). 65・631(印刷中). (1999)
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[Publications] 趙成鎭: "二流体噴射弁出口近傍における気液界面の変形特性" 日本航空宇宙学会北部支部1999年講演会前刷集. (発表予定). (1999)