1997 Fiscal Year Annual Research Report
高濃度電解質水溶液の分子構造と結晶化の抑制に関する分子動力学的研究
Project/Area Number |
09650225
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飛原 英治 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (00156613)
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Keywords | 吸収冷凍 / 臭化リチウム水溶液 / 分子動力学 / 分子構造 / 結晶 |
Research Abstract |
臭化リチウム水溶液のバルクを計算対象とし,簡単な2体ポテンシャルを用いた分子動力学計算を行った。水溶液の濃度を希薄溶液から溶解度付近まで連続的に変化させた場合と,異種の陽イオンを添加した場合について構造的性質,動的性質について検討した。また計算と同じ条件の水溶液について,臭素イオン周りの水分子の配位構造についてEXAFS(広域X線吸収微細構造)測定並びに解析を行い,分子動力学計算との比較検討を行った。臭化リチウム水溶液の濃度を変化させた場合と異種の陽イオンを添加した場合の両方において,臭素イオン周りの水分子の配位数,および臭素-酸素の最隣接原子間距離に関する実験結果と計算結果は良好に一致することを確認した。臭素イオン周りの水分子配位数はイオン周りの水和構造のような近視眼的な構造のみならず,イオン同士の位置関係等のより広範囲の構造を適切に理解することにより合理的に解釈することができる。電解質水溶液を古典的な分子動力学の問題として扱うことは一般にはかなり粗い近似であると考えられるが,平均構造,特にイオンと水分子の相対的な位置関係については簡単な2体ポテンシャルを用いた分子動力学計算によってもかなり妥当な結果が得られることを確認した。動的性質については自己拡散係数,並進運動および水分子の回転運動のスペクトル等について解析した。計算から求められる動的性質は計算に用いるポテンシャル関数にかなり強く依存するため,評価を与えることはかなり難しいが,水溶液の濃度等の計算条件を変化させて各種の動的性質を求めると,その結果はおおよそ妥当なものであった。
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Research Products
(1 results)