1998 Fiscal Year Final Research Report Summary
Project/Area Number |
09650226
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Thermal engineering
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横谷 定雄 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00010869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 正弘 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00011130)
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Project Period (FY) |
1997 – 1998
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Keywords | 沸騰熱伝達 / プール沸騰 / サブクール沸騰 / 限界熱流束(CHF) / マクロ液膜 |
Research Abstract |
沸騰熱伝達における限界熱流束(CHF)の存在は,応用熱機器の熱的破壊に関連した重要現象であるが,その発生機構を説明する有力な学説としてマクロ液膜消耗モデルがある.このモデルは,合体気泡の加熱面滞留時間が,合体気泡底面に存在する液膜の消耗時間より長くなると,加熱面に乾燥が生じ,加熱面の急激な温度上昇をもたらすとするもので,従来,飽和沸騰においてはCHF現象をよく説明することが知られている.しかし,液体の温度が飽和温度よりも低いサブクール沸騰においては,気泡蒸気の凝縮が気泡の成長と離脱を抑制し,極端な場合には,合体気泡の離脱が見られないことがある.しかるに,サブクール沸騰にあってもCHFは現実に観察されることから,マクロ液膜消耗モデルの有効性に関して疑問が提起されていた.本研究では,水平銅製加熱面上の水の沸騰実験を,飽和条件から高サブクール条件まで広く水温を変えて行い,サブクールによるCHFの変化を測定すると共に,高速ビデオを用いて気泡(合体気泡)の生成と離脱の様子を観察し,マクロ液膜消耗モデルの有効性について実験的検討を行った.その結果,マクロ液膜の消耗時間と対比される合体気泡の成長・離脱に関わる時間として,従来採用されていた合体気泡の離脱周期ではなく,加熱面を覆う合体気泡の形成時から離脱開始時(周囲から加熱面への液体供給が始まる時間)までの時間間隔をとり,従来は物性値のみで定まるとされていた加熱面の液体被覆割合に関係する項が熱流束に比例して変化すると考えることによって,少なくとも低サブクール条件下のCHF現象はマクロ液膜消耗モデルで説明しうることを明らかにすることができた.なお,高サブクールにおいては,加熱面全体を覆うような合体気泡の成長はなく,このモデルの前提が成立しない.
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