1997 Fiscal Year Annual Research Report
金属蒸気の超音速膨張におけるクラスタ生成の促進に関する研究
Project/Area Number |
09650229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長崎 孝夫 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (30155923)
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Keywords | クラスタ / 均質核生成 / 凝縮 / 金属蒸気 / 過飽和 |
Research Abstract |
半導体製膜におけるイオンクラスタービーム法などで重要となる真空下での金属蒸気の断熱膨張に伴う過飽和場からのクラスター生成につき研究を行った。まず従来の均質核生成理論に基づき、音速ノズルを通して真空下へ噴出する超音速自由膨張噴流の中心軸上における核生成・成長の解析を行い、過飽和度の流れ方向変化が急激なことに起因して臨界核半径が小さく表面張力の値に問題があること、またクラスタと蒸気間の熱移動が十分速やかでなく古典的な核生成理論では無視される熱非平衡も考慮すべきことが明確となった。そこで原子数2048個までの分子動力学計算を行いクラスタサイズと表面張力および平衡蒸気圧の関係を調べた。その結果、クラスタサイズ(原子数)が約1000個以上では表面張力はバルクの無限平面の値と一致し、平衡蒸気圧についても表面張力とクラスタ半径を用いた理論値と一致するが、それ以下のサイズでは表面張力の値が急速に減少することが分かった。さらに過飽和蒸気からクラスターが生成される動的な過程についても計算を行い、熱非平衡の存在化でもクラスターが生成しうることが分かった。この分子動力学計算により得られた物性値のサイズ依存性に基づき核生成・成長の解析を行い、初期蒸気圧力の相違によるクラスタ生成の有無に関する実験結果をよく説明することができた。さらにクラスタ生成を検出する測定方法として従来の制動電界法に加えパルス電圧負荷による粒子初速度の測定を行うことにより測定精度を向上しうることが分かった。
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