Research Abstract |
燃焼器,バ-ナ,エンジンシリンダ内での燃焼は,ほとんど常に乱流燃焼である.乱流燃焼を理解するには,速度場と温度場の相関を知ることが重要である.それには,燃焼という厳しい条件で速度と温度を同時に測定する必要がある.本研究では,これをレーザ流速計と細線熱電対により実現し,個々に固有の測定精度を支配する要因について十分に検討した. 本年度は,熱電対による変動温度測定の高精度化に重点を置いた.乱流燃焼場においては,通常10^3〜10^4Hz程度の温度変動がある.しかし,線径25〜50μmの細線熱電対でさえ,遮断周波数が10Hz程度という低速素子であり,正確な応答補償を必要とする.筆者らは,線径の異なる2本の熱電対からなる二線式熱電対により,変動温度測定の高精度化に新たな展開を与えた.これによって,熱電対の動特性の校正という難しい作業をなくし,時定数の変化に対応することを可能とした.さらに,ニ線式熱電対変動温度測定法の信頼性と有効性を,高速応答抵抗線温度計により評価した.また,ノイズが無視できず,ブローブの空間分解能が不足している場合にも有効な時定数推定法として,相関最大化法を新たに提案し,ニ線式熱電対の信頼性を向上させた.現在,Ar-Ionレーザ(補助金により購入)を光源とするレーザ流速計を自作し,これと細線熱電対を効果的に組み合わせる手法および信号処理法を開発している.同時測定システムはほぼ完成し,180°曲り流路内乱流火炎を測定対象として,予備的データを収集している.同時測定によってのみ得られる乱流熱流束は,熱輸送の特性を支配する重要な乱流量である.これを指標として,強い圧力こう配下での燃焼に,熱が平均温度こう配に逆らって輸送される特異な「逆こう配拡散現象」が発現するか否かを直接検証する準備をほぼ完了した.
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