1998 Fiscal Year Annual Research Report
固体高分子膜による水電解および水素燃料電池の特性改善に関する熱流体的基礎研究
Project/Area Number |
09650236
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Research Institution | TOYOHASHI UNIVERSITY OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
恩田 和夫 豊橋技術科学大学, 大学院工学研究科, 教授 (50281077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 衡平 豊橋技術科学大学, 大学院工学研究科, 助手 (10283491)
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Keywords | 固体高分子燃料電池 / 固体高分子水電解 / 発電特性 / 水電解特性 / 解析シミュレーション / 電流密度分布 / 分割電極セル / 電気侵透係数 |
Research Abstract |
最近、スルフォン酸基を持つ高いプロトン導電性の高分子膜による燃料電池や水電解の研究が盛んで、従来にない高い特性を示し、特に燃料電池は電気自動車用電源として多大な注目を集めている。しかし、これまで実験的な研究が多く、今後、工業技術として更に発展するためには、高分子膜の水管理を含めた特性の定量的把握が不可欠である。そこで本研究は電極面積10cm^2の固体高分子膜を用いた燃料電池と水電解の小型単セルを作製し、セル温度:室温-80゚C、電流密度:1A/cm^2程度で、燃料・酸化剤利用率や水電解率などの運転パラメータを変えて実験し、発電と電解特性を求めた。これら実験結果を解析するため、質量、エネルギー、電荷量の収支を考慮した二次元解析プログラムを作製し、実験条件に合わせて、燃料電池と電解セルの特性を同じ手法で求めた。ただし、セルの活性化・抵抗過電圧まで解析的に求めることは難しいので、これらは交流インピーダンス法や電流遮断法で測定し、両者は良く一致することを確認した上、解析に取り入れた。また、高分子膜の水の電気浸透係数も重要な物性値であるので、電池と電解の両動作条件で実測した。燃料電池の解析では、燃料極側の水蒸気が発電時にプロトンの移動と共に酸化剤側に動き、燃料極側の水蒸気が減少し、高分子膜が乾燥しイオン導電性が減少し電流密度が減り、下流で酸化剤側水蒸気濃度が増え飽和状態になると、水蒸気が燃料極側に逆拡散し、膜も一様に湿潤し電流密度も一定になった。一方、水電解では電解する水が不足しない限り、水の蒸発潜熱やエントピー吸熱、一定温度の集電板への熱伝達により温度は一定となり、ネルンスト起電力も流れ方向に一定となり、電流密度は燃料電池とは対照的に一定となった。これらの解析電流密度を確認するため、分割電極セルで電流密度を実測すると、一部電流密度の大きい電池動作領域を除いて解析結果と良く一致した。
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[Publications] 恩田和夫: "純水素利用燃料電池発電システムの検討" 第14回エンルギーシステム・経済・環境コンファレンス. 255-258 (1998)
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[Publications] 松本通弘: "リチウムイオン二次電池,固体高分子燃料電池,固体高分子水電解に対する超音波効果" 平成10年電気学会電力・エネルギー部門大会. 93-94 (1998)
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[Publications] 小濱美咲: "固体高分子水電解セルの温度特性と電流密度解析" 平成10年電気学会電力・エネルギー部門大会. 100-101 (1998)
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[Publications] 前田俊博: "固体高分子型燃料電池の温度・加湿特性と数値解析" 平成10年電気学会電力・エネルギー部門大会. 104-105 (1998)
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[Publications] 彦坂 猛: "平板型固体電解質セルによる高温水蒸気電解システムの電気効率" 第7回SOFC研究発表会. 51-54 (1998)
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[Publications] 村上敏夫: "固体高分子水電解セルの電流密度分布の数値解析と測定(II)" 平成11年電気学会全国大会. (1999)