1997 Fiscal Year Annual Research Report
TMCPにおける冷却不安定の回避法に関する基礎的研究(衝突噴流系の急冷過程と酸化膜の定量化)
Project/Area Number |
09650254
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
宮下 徹 工学院大学, 工学部, 講師 (00100371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 安郎 工学院大学, 工学部, 教授 (20215156)
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Keywords | 機械工学 / 熱工学 / 熱伝達 / 沸騰、 / 膜沸騰蒸気膜崩壊、 / 極小熱流束点温度 / 熱力学的過熱限界温度 |
Research Abstract |
より高品質な鉄鋼を低価格で供給する目的の下に推進されてきたTMCP技術は省エネルギの必要性を背景として発達・実用化されてきた。本研究は、酸化膜の付加に起因するTMCP技術の冷却不安定の回避法を熱工学的(沸騰熱伝達の)観点から検討することを目的とし、酸化膜の付加が及ぼす冷却特性への影響とこの影響の定量的評価として動的接触角に注目した評価法を検討する。 本年度は、初年度として、プール沸騰下における膜沸騰蒸気膜の崩壊特性すなわち急冷開始条件を実験的に検討し、膜沸騰蒸気膜の崩壊に関する基礎情報の収集を行った。実験は、直流安定化電源により直接通電加熱される水平白金細線を伝熱面(非酸化・清浄面)とし、サブク-ル状態のイオン交換水を試験液とする系で行った。この白金細線両端には温度を任意に設定できる銀電極を取り付け、局所的な低温度部とした。この銀電極が450,400,300,275,250℃それぞれに保持された状況下の膜沸騰蒸気膜の崩壊温度(MHF点温度)と膜沸騰蒸気膜の崩壊様相を測定し、蒸気膜崩壊現象に及ぼす局所的な低温部温度の影響を検討した。この結果、 (1)飽和沸騰同様、サブク-ル沸騰に対しても低温度部温度の減少とともに膜沸騰蒸気膜の崩壊温度が上昇すること、 (2)熱伝導モデルによるシミュレーションにより、飽和およびサブク-ル沸騰いずれの条件においても崩壊中の膜沸騰蒸気膜の先端温度(固気液三相界面の温度)は熱力学的過熱限界温度より低いことを明らかにした。この実験事実に基づき工業上の応用過程でしばしば見受けられる、蒸気膜崩壊温度が熱力学的過熱限界温度をも越える事実に対して、物理的整合性をもつ一解釈を提言した。 次年度は、上述の結果に基づき、膜沸騰蒸気膜の崩壊過程のより詳細な観測を通して、動的接触角と蒸気膜崩壊温度との相関関係を検討する予定である。
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