1998 Fiscal Year Annual Research Report
極低温熱流束計の開発とそれを用いたふく射多層断熱に関する研究
Project/Area Number |
09650258
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
春山 富義 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (90181031)
|
Keywords | 熱流束計 / 極低温温度測定 / ふく射(放射)伝熱 / 多層断熱 |
Research Abstract |
極低温における微少熱流束を正確に測定するため、評価実験装置の改造を行ない、本装置によって300Kから80Kへの標準的な熱流束値(1〜50W/m^2)に対応する熱流束を発生させることができた。 前年度の熱流束センサー(市販の大熱流束測定用)の感度は原理的に大きくすることが難しいので、より大きな出力を持つ半導体ペルチェ素子を熱流束センサーとして極低温で評価した。また、従来の熱流束測定方式(蒸発量から熱流束の積分値を測定するもの)が可能な装置を作成し、ペルチェ素子を実際に設置して性能を調べた。 1. 極低温用熱流束センサー性能のより高感度化 校正された大きさの熱流束が測定できる熱伝導方式(サンプルをはさんでヒーターを加え両端の温度差を精密に測定する)で、極低温におけるセンサーの評価を行なった。前年度製作した真空容器の下部面にセンサーをセットしたサンプルブロックを固定し80Kに保たれるようにした。10^<-2>Pa程度の真空に保ち、サンプル上部のヒーターから任意の熱流束を加えたときのセンサー出力を測定した。今回はより現実的な熱流束に近い1〜50W/m^2程度を発生させた。3社のペルチェ素子について実験を行なった。すべての素子が熱電対方式のセンサー出力のほぼ10倍の感度を持つことが判明した。 従来方式のセンサーの中で可撓性があり極低温においても充分に使用できるセンサーがあり、その評価も同時に行なった。感度はペルチェ素子に比べ1/5以下ではあったが、構造上も低温で充分繰り返し使用できうるものであった。これらのセンサーについて、狭い温度範囲ではあるが出力の温度依存性を調べた。80Kから数度の範囲ではあるが、温度依存性をほとんど示さなかった。 2. 多層断熱技術改善のための基礎的なデータ収集 ベルチェ素子を極低温用の熱流束センサーとして評価するためと、多層断熱技術を調べるため、蒸発量測定方式の熱流束測定ができる装置を製作した。
|
-
[Publications] 春山富義: "低温熱流束センサの開発" 第58回低温工学・超電導学会講演概要集. 19 (1998/5)
-
[Publications] 春山富義: "低温熱流束センサの開発(2)" 第59回低温工学・超電導学会講演概要集. 84 (1998/10)
-
[Publications] T.Haruyama: "Peltier heat flux sensor for cryogenic use" To be presented at '99 Cryogenic Engineering Conference (Canada).