| Research Abstract |
本研究は,自立型移動式移乗機を開発することを目的としている.本年度は,生体計測結果により,移乗介護動作の違い番こよる負担度について明らかにした.また,介護用自立型移動式移乗機のプロトタイプを試作し,それの基礎特性を明らかにした.
生体計測においては,介護者及び被介護者の重心位置変化を明らかにし,介護動作による重心軌道の違いを明らかにした.また,それの結果より,負担の少ない移乗動作について提言した.さらに,移乗動作において,介護者にかかる負担を明らかにするために,3自由度を有する移乗機械を使用した.そして,移乗動作が直線軌道の場合,サポータに作用するもたれ力が急激に増大し,介護者に対し負担が増大することが実験的に示された.また,被介護者が椅子に座っている姿勢(浅く座位している場合と深く座位している場合)は.介護者への負担度に対しほんとんど影響しないことが明らかとなった.さらに,これらのデータをもとに,移乗機で被介護者を持ち上げるときの力のパターンについて定式化した.
力センサーとアクチュエータの同時利用が可能な空気圧ベローズアクチュエータ及び空気圧シリンダを用いた移動式移乗機を試作した.移乗機は,空気圧源部,移動機構部と移乗機構部から構成される.そして,空気圧源としては,小型コンプレッサ及びベローズアクチュエータを用いたコンプレッサ及びアキュムレータからなり,ベローズコンプレッサは,移動機構部の電動モーター駆動により伸縮され,空気を圧縮する.さらに,被介護者が移乗機を押す力は,電動モーターを用いたパワーアシスト機能により負担が軽減されることが実験により検証された.また,移乗機走行時の振動を吸収するために,ベローズアクチュエー夕を用いたエアサスペンションを開発した.ベローズアクチュエータ内圧力を制御することにより,振動を吸収することが可能となる.移乗機構部においては,移乗中における動作解析データをもとに,自動移乗機の移乗用アーム設計を行った.移乗用アームは,シリンダ・ベローズアクチュエータによりアーム長を制御し,拮抗型ベローズアクチュエータにより回転駆動する.べローズアクチュエータについては,バネ力静特性,外力推定性能について明らかにし,被介護者からの外力を良好に推定できることが明らかとなった.さらに,被介護者が自由に移乗機を用いて移動できるように,各機構部ごとの関連性を検討し,統合化されたシステム管理プログラムを作成している.また,空気圧モーター利用による移動機構部の開発をおこなうために,空気圧モーターの基礎特性と再加圧システムについて検討した.
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