1997 Fiscal Year Annual Research Report
非線形動的システム理論に基づく電力系統の安定領域解析とオンライン観測
Project/Area Number |
09650317
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三谷 康範 大阪大学, 工学部, 助教授 (10192759)
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Keywords | 電力系統 / 非線形システム / Hopf分岐理論 / 安定度 / 最小2乗法 / 軸ねじれ共振 |
Research Abstract |
本研究の目的は、非線形システムである電力系統においてこれまでにはほとんど意識されていなかった新しい観点に基づく安定性の解析手法を確立することにある。本研究ではHopf分岐理論に注目しているが、これは、システムの平衡点の安定性が変化する点と周期軌道が発生する限界の点が一致し、異なる2つの状態の特性がこの点において分岐するように見える特性があることを図的に表現したものである。これを利用すれば平衡点安定性が変化する点を起点としてシステムの周期軌道の構造を見つけ出すことができる。平成9年度は、まず、直列コンデンサ補償したタービン発電機系において発生しやすい軸ねじれ共振現象(SSR)に着目して、SSR発生時を起点として見つけ出すことができるシステムの周期軌道特性の解析を試みた。直列コンデンサ補償度をパラメータとしたとき軸ねじれモードの1つが安定から不安定に変化し、さらに補償度を増加すればまた安定に戻ることに注目して分岐特性を求めた。その結果、2つの安定性の変化点に挟まれた、平衡点が不安定な領域において周期軌道が存在し、その周期軌道の安定性もコンデンサの補償度の変化とともに変化して、トーラス状の軌道を作り出す場合があることを見つけだした。つぎに、発電機出力の増加とともに発電機動揺の安定性が変化する点に着目して、このときやはり周期軌道が見いだされることを確認した。この周期起動はシステムパラメータの変化、とくにAVRの特性に依存して、安定性を大きく変えることがわかった。また、不安定な周期軌道の場合は大域的な安定領域の境界を作り出すことが知られているので、数値解析を行って、従来の過渡安定度の概念で予想されるよりも安定領域が狭められる場合があることを確認した。さらには、この非線形特性を保存した簡略化モデルを構築することにより、これを用いた周期軌道の観測手法を最小2乗法の適用によって構築するための基礎的な知見を得ることができた。
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[Publications] Yasunori Mitani: "Bifurcations associated with Subsynchronance Resonace" IEEE Transactions on Power Systems. 13(掲載予定). (1998)
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[Publications] 川崎光喜: "超電導エネルギー貯蔵装置を用いた電力系非線形動特性の観測法" 電気学会電力系統技術研究会資料. PSE-97-99. 31-36 (1997)