1998 Fiscal Year Annual Research Report
光ファイバー上吸着LB膜を用いたファイバーセンサー
Project/Area Number |
09650344
|
Research Institution | CHIBA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
国吉 繁一 千葉大学, 工学部, 助手 (30092050)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 一浩 千葉大学, 工学部, 教授 (10195456)
|
Keywords | 光ファイバー / センサー / 吸着LB膜 / 有機色素 / アラキン酸 / タンパク誤差 / 可視吸収スペクトル / pHセンサー |
Research Abstract |
尿検査の中のタンパクの定性検査に用いられている有機色素層を光ファイバー上に形成し、タンパク検出用のセンサーとしての実現を目指して研究を行った。有機色素層の形成は次のようにして行った。クラッド部を除去した光ファイバーのコア部に有機色素を吸着分子とした吸着LB法によってLB膜として形成した。吸着LB膜の累積層数は1層から5層まで変化させ、吸着LB膜の累積時に1層累積するごとに吸収スペクトルを測定し、吸着LB膜の累積状態を監視するとともに検出層の同定を試みた。タンパクセンサーとしての基本特性を確認するために、種々の濃度のタンパク標準液を用意し、可視吸収スペクトルの変化の濃度依存性の測定を試みた。その結果、以下の知見を得た。 1) 可視吸収スペクトルにおいて、タンパク濃度に顕著な応答を示すピークは2つある。1つは、630nmの現れるピークで、タンパク濃度の増加に伴い吸光度がタンパク濃度の対数に依存して増加することが確認された。450nmのピークはタンパク濃度が増加するとともに減少することが観測された。 2) ファイバー上吸着LB膜の可視吸収スペクトルのpH値に依存した変化は、繰り返し測定に対して、再現性が良好であることが確認された。また、その変化は可逆的であった。これらの点は、センサーの再使用の観点から重要である。 3) 光ファイバー上のアラキン酸/TBPB吸着LB膜の吸収スペクトルのタンパクによる変化は見かけの pH値がアルカリ側にシフトし、タンパク誤差が確認された。 4) 可視吸収スペクトル変化の吸着LB膜の累積層数依存性から、検出層として主に作用する層はクラッドに密着した弟一層であることが分かった。 以上の結果から、光ファイバーのコア上に形成した有機色素(TBPB)吸着LB膜がタンパク測定用のセンサーとしての可能性示された。しかしながら、スペクトル変化量は溶液に比較すると、まだ小さく、さらに吸着LB膜の作製条件等を検討する必要がある。
|