1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650350
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山本 あき男 福井大学, 工学部, 教授 (90210517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 明弘 福井大学, 工学部, 助教授 (10251985)
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Keywords | GaN / 陽極溶解反応 / 電流密度-電解電位曲線 / 正孔 / 紫外光照射 / 結晶欠陥 |
Research Abstract |
本研究の目的は、GaN,InGaNなどの窒化物半導体についてその電気化学的挙動を明らかにすることによって、表面研磨技術、加工技術、ならびに欠陥検出技術としての3種類のエッチング技術を開発することである。本年度は主にGaNの電気化学的挙動の解明について検討を行ない、以下の成果を得た。 1.GaNの電気化学的挙動の解明 低温成長GaNバッファ層を用いてサファイア(0001)基板上に鏡面性、結晶性の優れたGaN膜を作製する技術を確立した後、GaNの定電流電解下での陽極溶解挙動を調べ、以下の重要な事実を明らかにした。 ・ n形GaNの電流密度-電極電位曲線は電解液の種類(NaOH、H_2SO_4)にはほとんど依存しない。 ・ 従来Ga(OH)_3による不働態化が原因とされていた電極電位の急激な上昇は、Gan電極表面での空乏層の形成によるものである。紫外先照射によって空乏層の形成を阻止でき電極電位の上昇は抑制できる。 ・ GaNの陽極溶解反応には正孔が関与している。これは通常のワイドギャップ半導体の陽極溶解反応の場合と同様である。従って、n型GaNの陽極溶解反応を進行させるためには紫外光照射等による正孔の供給が不可欠である。 2.GaNのエッチング挙動と結晶欠陥 n形GaNでは結晶性評価法としての新たなエッチング技術の可能性があることがわかった。 ・ n形GaAsやInPなどの結晶では転位部分が正孔の発生源(遮光下)あるいは再結合中心(光照射下)になるが、n形GaNの陽極溶解ではそのような現象はみられない。すなわち、n形GaNでは転位は深い準位の欠陥ではないようである。そのため、n形GaAsやInPなどで開発された欠陥検出技術としてのエッチングはn形GaNには適用できない。 NaOH水溶液中で化学的にエッチングされるような結晶性の低いGaNでは、電流密度-電極電位曲線に紫外光照射効果がほとんどみられないことから、光照射効果の大きさが結晶性評価の尺度になる可能性がある。
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