1998 Fiscal Year Annual Research Report
液相成長法によるGaN層の形成と高効率NEA素子への応用
Project/Area Number |
09650354
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
助川 徳三 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (30006225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 雅和 静岡大学, 電子工学研究所, 助手 (50177929)
田中 昭 静岡大学, 電子工学研究所, 助教授 (50022265)
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Keywords | 液相成長 / 窒化ガリウム / 負の電子親和力 / 組成変換 |
Research Abstract |
昨年度においては、GaP基板上のGaAs層をアンモニアガス中で約850℃で熱処理することによってGaNに変換できること、その時にはGaP基板は安定であることなどが判った。こうした実験事実を理解するために、GaAsおよびGaPとアンモニアとの化学反応を熱力等的に考察した。この反応によってGaNを生成するギブスの自由エネルギー変化から、約700℃から850℃の熱処理温度では、GaP基板は安定であり、GaAsのみがGaNに変換できること、より高温においてはGaP基板も窒化できることなどが明らかになった。 この考察から、GaAsよりもGaPの格子定数がGaNに近いことを考慮して、GaP基板の直接窒化の実験をおこなった。その結果、約1000℃で約3μm厚のGaNがGaP基板表面に形成できることが明らかになった。このことからアンモニアの存在しない雰囲気では分解してしまうGaP基板が、アンモニアの存在によって表面が窒化されれば高温においても安定であり、GaNの成長に使用できることが判った。GaP基板上GaAs層の変換実験も引き続きおこない、変換過程の進行状況をX線回折、フォトルミネセンス、透過顕微鏡観察などで調べ、学術的にも貴重な知見を得ることができた。 次にこのようにして得たGaP基板上のGaN層が、引き続くGaN成長の下地層として使用できるかどうかを調べるために、これらを基板として昇華法による成長実験をおこなった。アンモニアガス流の上流側にGaNの粉末原料を置き、下流の低温側に基板を置いて1000℃近辺で1時間保持した。その結果、成長と同時に速い変換が進行し、GaP基板上に100μm以上の厚いGaN層を得ることができた。 以上のように本年度は、GaP基板上GaN層の形成だけでなく、それがGaN成長の下地として使用可能であることが確認でき、高効率冷陰極作製の展望を拓くことができた。
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