1997 Fiscal Year Annual Research Report
半導体低次元構造における励起子分子の局在化と光学利得の生成機構
Project/Area Number |
09650359
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山田 陽一 山口大学, 工学部, 助教授 (00251033)
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Keywords | 励起子分子 / 励起子 / 局在化 / 光学利得 / 短波長半導体レーザ / 低次元構造 / 量子井戸 / 硫化亜鉛 |
Research Abstract |
励起子分子の輻射再結合過程、即ち、励起子分子を始状態として励起子を終状態とした光学遷移過程は本来的に反転分布状態にあり、同時にその過程には極めて大きな振動子強度が期待される。従って、この励起子分子の輻射再結合過程を利用することにより、高性能かつ高効率なレーザダイオードの実現が期待される。本研究では、ワイドギャップ半導体の中でも最も大きな励起子分子効果が期待できるZnS系量子井戸構造を設計・作製し、低次元系励起子分子の輻射再結合過程を利用した紫外半導体レーザ構造の作製を試みた。特に、励起子分子の結合エネルギーと局在化の度合いを定量的に評価し、励起子分子に対する量子閉じ込め効果の最適化と励起子分子の局在化が光学利得生成に与える効果を明らかにすることを目的とした。減圧有機金属気相成長法により作製した一連のCd_xZn_<1-x>S-ZnS量子井戸レーザ構造に対して、励起子分子の2光子吸収過程の測定を行った結果、現在までに、その結合エネルギーとして最大値約34meVが得られた。この値はZnS薄膜における励起子分子結合エネルギー(8.6meV)の約4倍であり、室温における熱エネルギー(26meV)を上回っている。また、励起子分子の2光子共鳴位置により、観測された励起子分子発光は局在状態を介したものであることが明らかにされた。さらに、この試料を用いて共振器構造を作製し、光励起下でのレーザ発振特性を測定したところ、約200K程度まで励起子分子の輻射再結合過程に基づいた誘導放出を観測することができた。この上限温度は、これまでに励起子分子による誘導放出として報告されているものの中では最も高い。励起子分子による誘導放出を室温においても達成するためには、今後、その結合エネルギーの更なる増大(目標値40meV以上)と局在化の制御との双方から検討する必要があるものと考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 山田陽一: "青色・紫外半導体レーザーの発振機構" レーザー研究. 25(7). 493-497 (1997)
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[Publications] 山田陽一: "ZnS系量子井戸構造における局在励起子分子と光学利得" 電子情報通信学会論文誌. J81-C-II(1). 42-50 (1998)
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[Publications] 吉村和正: "Two-photon absorption of biexcitons in ZnS-based quantum wells" Journal of Crystal Growth. 175. in press (1998)
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[Publications] 中村成志: "Temperature dependence of excitonic luminescence from high-quality ZnS epitaxial layers" Journal of Crystal Growth. 175. in press (1998)