1998 Fiscal Year Annual Research Report
チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスのバルクおよび表面の強誘電体ドメイン構造の評価
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09650370
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小川 敏夫 静岡理工科大学, 理工学部, 助教授 (40247573)
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Keywords | チタン酸ジルコン酸鉛 / 強誘電体ドメイン / 抗電界 / パルス電界 / 残留分極 / しきい電界 / 180°ドメイン反転 / パルス分極 |
Research Abstract |
今年度の研究は大別して次の3テーマからなる。チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)セラミックス中の強誘電体ドメインの(1)静的評価および(2)動的評価、パルス電界による(3)短時間分極処理方法の開発である。 (1)ではソフトおよびハード系PZT共、分極反転を起こす電界(抗電界)は正方晶ではジルコン酸鉛量が多くなると小さくなるが、菱面体晶では一定値をとる。更に、電界(E)の印加履歴(十→-,-→+)によってソフト系正方晶でE=0の時、電気機械結合係数(kp)に差が見られた。一方、ソフト系菱面体晶およびハード系全組成域ではkpに差が現れなかった。これは正方晶の結晶異方性が菱面体晶に比べ大きいことやソフト系がハード系に比べて分極処理による結晶粒の変形を自らが吸収し、それを温存し易いことが原因と考えられた。また、比誘電率(εr)でもkpのE依存と同傾向が得られ、印加履歴によるE=0でのεrの差はkpと同様にソフト系正方晶でのみ観測された。 (2)はPZTセラミックスへパルス印加(ラジアント製強誘電体テストシステムRT6000HVS使用)した時の応答特性より求めた。ハード系PZTではパルス電界(E)と残留分極(Pr)とはほぼ比例したが、ソフト系ではあるしきい電界を越えると、Prは急激に増大した。この分極の増加量を強誘電成分と常誘電成分に分けたところ、ソフト系では強誘電成分の分極量ピークがしきい電界で見られ、これは180゚ドメイン反転に対応するものと考えられた。一方、常誘電成分の分極量はソフトおよびハード系ともEに比例して増加した。 (3)は(2)の測定を詳細に検討している際に見出した現象で、未分極試料にバイポーラーパルスを1回印加したところ、極めて短時間(400ms)で分極処理が可能であることが明らかとなった。これは従来の分極時間30分程度を大幅に短縮出来る新たな方法であり、今後ソフトおよびハード系PZTでのパルス分極メカニズムを明らかにして行く必要がある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Ogawa and K.Nakamura: "Poling Field Dependence of Ferroelectric Properties and Crystal Orientation in Phombohedral Lead Zirconate Titanate Ceramics" Jpn.J.Apll.Phys.37. 5241-5245 (1998)
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[Publications] T.Ogawa,M.Ogawa,T.Koide T.Fujii and H.Matsumoto: "Effect of Firing Atmosphere on Pb(Co^1/_3 Nb^2/_3)O_3-PZT Ceramics" Ferroelectrics. 印刷中. (1998)
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[Publications] T.Ogawa: "Domain Structure of Ferroelectric Ceramics" Proc.of the 9the CIMTEC(International Conference on Modern Materials & Technologies '98). 印刷中. (1998)
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[Publications] T.Ogawa and K.Nakamura: "Poling Field and Pulse Response Dependence of Ferroelectric Properties in Soft Lead Zirconate Titanate Ceramics" Proc.of the 18th Electronic Division Meeting of the Ceramic Society of Japan. 印刷中. (1998)
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[Publications] T.Ogawa and K.Nakamura: "Pulse Response Measurement of Transient Phenomena on Ferroelectric Domains in PZT Ceramics" Ferroelectrics(Proc.of the 2nd ASL an Meeting on Ferroelectrics International;AMF-2). 印刷中. (1998)
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[Publications] 中村幸司.小川敏夫: "PZTセラミックス中での強誘電体ドメインの動的評価" 静岡理工科大学紀要. 7印刷中. (1998)