1999 Fiscal Year Annual Research Report
チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスのバルクおよび表面の強誘電体ドメイン構造の評価
Project/Area Number |
09650370
|
Research Institution | Shizuoka Institute of Science |
Principal Investigator |
小川 敏夫 静岡理工科大学, 理工学部, 助教授 (40247573)
|
Keywords | PZTセラミックス / 強誘電体ドメイン / バイポーラパルス / パルス分極 / P-Eヒステリシス / DC分極 / 配向分極 / ドメインクランピング |
Research Abstract |
今年度はPZTセラミックス中の強誘電体ドメインと外部から印加されたパルス(電界強度と周波数)との関係およびパルス分極の可能性について調べた。 測定温度80℃,印加電界3kV/mm,周期800msecのバイポーラパルスをM.P.B近傍組成試料へ印加し、P-Eヒステリシスを観測した。その結果,ソフト系ではM.P.B近傍組成において飽和したヒステリシスが得られたが、ハード系では±3kV/mmの印加でも飽和に達しなかった。次に、パルス印加による分極処理効果を検討したところ、ソフト系の圧電特性はDC分極とほとんど変わらなかったが、ハード系では電気機会結合係数(kp)がDC分極の1/3程度であった。又、観測されたヒステリシスは正電界方向へのシフトが見られた。更に、ソフト系およびハード系のM.P.B.近傍組成の未分極試料を用いて、バイポーラ三角波パルスをE=±3.0kV/mm,T=800ms、E=±4.0kV/mm,T=800ms、E=±3.0kV/mm,T=12secおよびE=±4.0kV/mm,T=12secの条件で10回印加し、圧電特性の測定を行った。又、DC分極(3kV/mm,80℃,30min)済試料を用い同様の測定を行った。ソフト系の未分極試料のパルスによる分極では、DC分極によるkpとほぼ同じ値が得られた。ハード系では未分極,分極済み試料共kpの大きさは、E=±4.0kV/mm,T=12sec>E=±3.0kV/mm,T=12sec>E=±4.0kV/mm,T=800ms>E=±3.0kV/mm,T=800msの順で、飽和分極(DC分極程度)には達していなかった。このことから、kpはEよりもTに大きく依存することが明らかとなった。一方、ソフト系およびハード系共にDC分極後の試料へのパルス印加により、kpは減少した。これは一度配向した分極が、パルス印加により180°ドメイン反転を起こすが、一部パルスに追随できず、配向分極が互いにうち消しあうドメインクランピング状態となり、kpが減少したものと考えられた。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] T.Ogawa and K.Nakamura: "Effect of Domain Switching and Rotation on Dielectric and Piezoelectric Properties in Lead Zirconate Titanate Ceramics"Jpn.J.Appl.Phys. 38・9B. 5465-5469 (1999)
-
[Publications] T.Ogawa: "Poling Field Dependence of Lead Titanate Ceramics"Proc.of the 16th International Japan-Korea Seminar on Ceramics. 405-409 (1999)
-
[Publications] T.Ogawa: "Domain Switching and Rotation in Soft and Hard PZT Ceramics"Proc.of the 9th US-Japan Seminar on Dielectric and Piezoelectric Ceramics. 47-50 (1999)
-
[Publications] T.Ogawa: "Domain Switching and Rotation in Lead Zirconate Titanate Ceramics by Poling Fields"Ferroelectrics(Proc of the 9th European Meeting of Ferroelectricity;EMF-9). (印刷中). (1999)
-
[Publications] T.Ogawa and Y.Tsuboi: "Growth Model and Electrical Properties of Lead Zirconate Titanate Thin Films on Nickel Alloy Electrode Prepared by Thermal Decomposition"Proc.of the 19th Electronic Division Meeting of the Ceramic Society Japan. (印刷中). (1999)
-
[Publications] 中村幸司,小川敏夫: "PZTセラミックスのバイポーラパルスによる分極処理"静岡理工科大学紀要. (印刷中)vol.8. (2000)