1997 Fiscal Year Annual Research Report
半導体レーザによる広スペクトル超短光パルスの任意繰り返し発生
Project/Area Number |
09650380
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土屋 昌弘 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50183869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 武志 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70010791)
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Keywords | 光ソリトン / 光パルス圧縮 / 光ファイバ / 半導体レーザ / 利得スイッチ / 分散マネジメント / 非線形シュレディンガー方程式 / ラマン効果 |
Research Abstract |
本年度は、以下に記す2項目について実験的な研究を実施すると共に、非線形光ファイバ素子によるフェムト秒パルス波形の整形の可能性をシミュレーションにより追究した。前者に関して概説すると: (1)ステップ状分散プロファイルファイバ(SDPF)の設計とそれを用いたパルス圧縮実験 単調分散減少ファイバ(DDF)を用いた光パルス圧縮では、基本ソリトン励起に必要となるパワー程度のみ必要であり、また圧縮後にウイングを伴わない高品質光パルスが得られることから、フェムト秒光パルス発生には有効な手法であると考えられる。しかしながら、DDF作製には時間的金額的コストがかかる欠点がある。これに対して、分散値の異なる既存のファイバ数本を組み合せることにより疑似的にDDFを構成するSDPF手法は、現実的かつより自由度の大きい方法として注目に値する。筆者らは3本のファイバでSDPFを構築し理論的・実験的に性能を評価した。その結果、DDFを用いた場合とほぼ同等のパルス圧縮機能を有することが判明した。また、パルスの品質も同等以上のものが発生可能であることを示した。 (2)サブ100フェムト秒パルス発生システムの構築 SDPFによる圧縮と長さ50mのソリトン圧縮ファイバを組み合わせることにより、更に高性能の圧縮糸を試作した。ゲインスイッチ動作により発生した半導体レーザーからの光パルスを65fsにまで圧縮できること、ウイング部分の十分に小さいパルスを発生できること、は昨年度までの研究で判明していた。これに対して、後段の圧縮系におけるパルス圧縮機構の詳細な解明を行った。3次の分散および高次の非線形項を取り入れた非線形シュレディンガー方程式を用いて数値解析を行い、ラマン効果がパルスの安定化(パルス幅の安定化・ウイング部分の平坦化)に寄与していることを見いだした。更に、実験的にも、出力光パルスの時間幅と波形がソリトン圧縮ファイバの長さに依存する様子を詳細に調べ、左記の数値解析モデルが極めて妥当であることを実証した。
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