1997 Fiscal Year Annual Research Report
高品質音声を伝達する人工内耳用スピーチプロセッサーの開発研究
Project/Area Number |
09650419
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
渡邉 亮 熊本大学, 工学部, 教授 (50040382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 隆 久留米工業高等専門学校, 助教授 (80222884)
池田 直光 八代工業高等専門学校, 助教授 (70124146)
上田 裕市 熊本大学, 工学部, 助教授 (00141961)
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Keywords | 人工内耳 / スピーチプロセッサ / ホルマント抽出 / 逆フィルタ法 / ホルマント分析・合成 / 聴取テスト |
Research Abstract |
本研究は、22個の電極を有する人工内耳で伝達する音声情報として第1、第2ホルマント周波数とその振幅、及びピッチ周波数を用いることを前提に、その抽出方式を検討し、高品質の音声を伝達し得るようにスピーチプロセッサーを改良、実現することを目的としている。本年度は、現在実用化されている人工内耳の音声パラメータの符号化モジュールをインターフェースとし、コンパクトなスピーチプロセッサーに用い得るホルマント抽出方式として、逆フィルタ制御法の適用を提案し、計算機シミュレーションにより従来法と比較した。比較は、男女声の/VCV/音声サンプルを用いた分析とその抽出ホルマントによる合成音声の聴取テストで行われた。我々の開発した逆フィルタ制御法は音声生成過程に基づいたホルマント抽出法であり、原理的に固定フィルタを用いる従来法よりも優れていることが多数の分析例で示された。即ち、サウンドスペクトログラムとの比較において精度・安定性ともに優れていることが分かった。つぎに、抽出ホルマントを用いた合成音声の聴取テストによる評価を行った。音声は人工内耳で伝達される情報のみで合成され、2つのホルマントのそれぞれに一致する周波数の正弦波をピッチによる脈動を含む振幅包絡波で変調した後、係数をかけて加算する方式を用いた。/VCV/音声に白色雑音を加えてS/N比を変えてホルマント抽出と合成を行い、その聴取による明瞭度を調べた。逆フィルタ制御法によるホルマント周波数の場合にはS/N比20%以上で母音はほぼ完全に理解され、子音の明瞭度は50〜70%であった。この結果は、従来法に比べ、10〜20%高く、逆フィルタ制御法によるホルマント抽出をスピーチプロセッサに用いることが、高品質音声の伝達に有効であると推測される。
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