1997 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトDSPに関する基礎研究とその生体情報処理への応用…ソフトコンピューティングとデジタル信号処理の融合
Project/Area Number |
09650426
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
荒川 薫 明治大学, 理工学部, 助教授 (30183734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原島 博 東京大学, 工学部, 教授 (60011201)
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Keywords | ディジタル信号処理 / 生体信号処理 / ルールベースシステム / 非線形信号処理 / ソフトコンピューティング |
Research Abstract |
呼吸音に含まれるcrackleなる異常音を自動的に分離抽出するシステムの開発を行なった。まず、国立療養所東京病院より入手した呼吸音データ波形を観察し、crackleの波形上の特徴を明らかにすると共に、cracleを他の波形成分と分離するためのルールの検討を行なった。 次に、予測誤差解析、スペクトル解析などの定量的解析を行ない、定量的解析を用いた場合のcrackle分離のためのルールの検討を行なった。 これらの解析・検討結果に基づき、予測誤差に着目したルールベース信号処理システムの構築を行なった。このシステムは、まず、crackleがインパルス波とその余波からなる非定常波であることに着目し、予測誤差の大きな成分のみ抽出する(ST-NSTフィルタ)。次に、ここで抽出された成分に対し、crackele波形の特徴を考慮した処理を行い、抽出精度の向上を図る。具体的には、持続幅がある一定値以下のものとそれに後続する成分のみの抽出、さらに、この抽出波のうち、積分値が一定値以上の成分の抽出を行なう。特に、持続幅に基づく信号抽出では、rank orderフィルタなる非線形フィルタに基づく処理により容易に実装できるアルゴリズムの開発を行なった。最後に、抽出部の前後における波形補正を行ない、最終的抽出成分をcrackelとして出力する。 以上のようなシステムにより、crackleが十分精度良く抽出されることが示された。ST-NSTフィルタはファジィルールに基づくフィルタに相当するものであり、後続の波形の特徴を考慮した処理もルールベースシステムになっている。本研究により、呼吸音などの生体信号から異常成分を自動的に抽出するには、通常の線形信号処理手法では能力の限界があり、信号の種々の特徴梁を考慮したルールベース信号処理システムが必要であることが明らかとなった。
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[Publications] Kaoru Arakawa: "Fuzzy Rule-Based Image Processing" Int. Journal of Imaging System & Technology. Vol.8. 457-461 (1997)
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[Publications] 荒川 薫: "信号処理と非線形" 電子情報通信学会誌. Vol.80,11. 1190-1194 (1997)