1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650467
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
宇野 洋二 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (10203572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福村 直博 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (90293753)
片山 正純 豊橋技術科学大学, 工学部, 講師 (90273325)
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Keywords | 運動軌道 / 運動学習 / 運動タスク / 運動計測 / 機能的電気刺激 |
Research Abstract |
生体の運動制御の計算モデルを検証し応用するために、昨年度、設計・構築した運動計測システムを用いて、ヒトの手の運動軌道を計測する実験を行った。具体的な実験と成果は、以下のとおりである。 1. キネマティクスが変更された環境下での運動学習の計測 プロジェクターを用いて、腕の長さや関節角が仮想的に伸縮された視覚環境を準備し、マニピュランダムを用いて、ヒトの手を他動的に移動できる運動環境を設定した。このように人工的に変更された環境で、被験者に、他動的に動かされた手先の位置を答える課題(順キネマティクス)と目標点に手先を移動する課題(逆キネマティクス)を行わせた。2つの課題における長時間の学習後の回答位置と誤差を解析することによって、ヒトの脳内で、順キネマティクスあるいは逆キネマティクスに応じて、別々のモジュールが獲得される可能性が見い出された。 2. 運動タスクと最適軌道に関する研究 昨年度に続いて、さまざまな運動タスクにおいて滑らかさの運動規範が採用されるか否かを、最適軌道の計算機シミュレーションと、ヒトの到達運動の行動実験を通じて検証した。今年度は特に、実験条件を整備して、系統的かつ長期の心理物理実験を行うことによって、運動時間最小タスクのような課題が指示されてもされても、ヒトは滑らかさの運動規範にしたがって軌道を生成することを確認した。 3. 運動スキルの獲得メカニズムに関する研究とリハビリテーションへの応用 本研究のリハビリテーションへの応用として、脊髄損傷による下肢麻痺患者のための歩行再建システムを構築した。本システムは、長下肢装具と機能的電気刺激を組み合わせて歩行を実現するハイブリッドアシスティブシステムである。健常者に対して、機能的電気刺激を用いた歩行運動と随意的な歩行運動における下肢関節の動きを解析し、本歩行再建システムの実用性が高いことを確認した。
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[Publications] 福村 直博: "把持対象認識モデルによる異種感覚情報間の多対多の関係の学習" 日本神経回路学会誌. 5-2. 65-71 (1998)
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[Publications] 福田 浩士: "ヒトの把持運動における対象物の特徴抽出と手形状の形成" 第13回生体・生理工学シンポジウム論文集. 153-156 (1998)
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[Publications] 宇野 洋二: "The criterion of smoothness is adopted for a time-minimizing task in human reaching movements" Abstracts of 28th Annual Meeting of Society for Neuroscience. 24. 421 (1998)
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[Publications] 四ノ宮 大輔: "ヒト腕のキネマティクスの順・逆内部モデルに関する心理物理学的研究" 電子情報通信学会技術研究報告. NC98-118. 153-160 (1999)
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[Publications] 明比 豊博: "ジャイロセンサを利用したFESシステムによる下肢麻痺者の歩行再建" 電子情報通信学会技術研究報告. MBE98-138. 91-98 (1999)
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[Publications] 福田 浩士: "対象物の認知と手の把持形状の計算との関係-ヒトの把持への計算論的アプローチ" 電子情報通信学会論文誌. (印刷中). (1999)