1999 Fiscal Year Annual Research Report
非線形振動子群における秩序形成に基づくセンシング手法に関する基礎的研究
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09650492
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
田畑 修 立命館大学, 理工学部, 助教授 (20288624)
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Keywords | 非線形 / 振動子 / センシング / 秩序 / ゲル / アクチュエータ |
Research Abstract |
本研究の目的は、生物の持つ優れた情報処理機能を応用したセンシング手法の実現可能性を探ることである。 従来のセンサにおける検出原理には主に線形でかつ平衡な系における挙動を利用してきた。ところが生物の持つ優れた情報処理の特徴は非線型・非平衡状態の利用にあるといわれている。従って、非線型・非平衡状態を積極的に利用するセンシング手法を理論および実験の両面から基礎的に検討することによって、生物の持つ優れた情報処理機能を応用したセンシング手法の実現可能性を探る。 本年度は研究の最終フェーズにあたり、過去2年間の塩水振動子を用いたシミュレーションによる研究成果を踏まえ、実際の非線型振動子群として高分子を用いた自律振動ゲルにターゲットを絞った。自律振動ゲルによって繊毛状のマイクロ構造体を作製し、そこにおける秩序形成の確認と外部環境との相互作用についての基礎研究を遂行した。その結果、世界で始めて自律振動高分子ゲルに3次元突起アレイを形成した非線型振動子群を作製し、高分子ゲル突起アレイに形成される秩序構造としての化学反応波の伝播様式の観察と、化学反応に伴う高分子ゲル突起アレイの伸縮運動の観測に成功した。高分子ゲル突起アレイにおける繊毛運動に類似の伸縮運動は化学反応波の伝播様式によって支配される。 今後の展開研究において、高分子ゲルを保持する環境の変化が化学反応波の伝播様式に与える影響を解明すれば、これらの高分子ゲル突起アレイの伸縮運動をセンシングに適用できる見通しを得た。
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