1998 Fiscal Year Annual Research Report
石灰石微粉末の反応性と流動性の制御による環境低負荷型高機能セメントの開発
Project/Area Number |
09650503
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Research Institution | TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
坂井 悦郎 東京工業大学, 工学部, 助教授 (90126277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 陽子 東京工業大学, 工学部, 助手 (50223938)
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Keywords | 石灰石微粉末 / 反応 / 流動性 / 環境負荷 / 高性能セメント |
Research Abstract |
石灰石微粉末は高流動コンクリート用の基本材料として、また、環境負荷の低いフィラーセメントの原料として期待されている。本研究では、石灰石微粉末による流動性制御による高機能セメントの材料設計を有効に行うため、石灰石微粉末の反応性と流動性に関する基本的なデータの蓄積を目的とした。 石灰石微粉末とカルシウムアルミネート相との反応について整理した。石灰石微粉末はアルミネート相と反応し、モノカーボネートなどを生成する。また、セッコウとの競争反応について整理し、少量添加においては、後期にエトリンガイトを再び生成するDelayed Ettringite Formationを生じることを見いだし、材料設計上注意すべきであると指摘した。また、高流動コンクリートのように多量な石灰石微粉末を混和した場合には、このような心配がないことも明らかにした。 石灰石微粉末は流動性を改善する効果があり、それは充填性効果と形状によるボーリベアリング効果に分離できることを明らかにした、また、粒度分布は多モードとすることで、充填性が向上し、流動性が向上することを明らかにした。また、高流動コンクリートなどと関連して重要になる石灰石微粉末とポリカルボン酸塩系分散剤との相互作用について検討した。さらに、グラフト鎖長の異なるポリカルボン酸塩系分散剤を添加した場合の流動性について検討を加えた。粒子間ポテンシャルの計算においては、グラフト鎖長の長いものが有利になるが、濃厚系サスペンションのレオロジーに関連しては、グラフト鎖長の長い場合には、団粒中に拘束水が増加し、流動性が低下することを明らかにした。従って、ポリカルボン酸塩系分散剤のグラフト鎖長は、水和により埋没することおよび団粒の形成を考慮して、最適な鎖長が存在することを見いだした。
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[Publications] E.Sakai and M.Daimon: "Dispersion Mechanisms of Saperplasticizers" Proc.5^<th> CANMET/ACI Int'l Conf.Superplasticizers and Other Chemical Admixtures in Concrete. 187-201 (1997)
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[Publications] E.Sakai, S.Hoshino, Y.Ohba and M.Daimon: "The fluidify of cement paste with various types of inorganic powders" Proc.10^<th> Int'l Cong.Chemistry of Cement. Vol II. 2ii002-2ii010 (1997)
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[Publications] 川上晃、坂井悦郎、大門正機 他: "櫛形高分子を添加したCaCO_3-H_2Oサスペンションの流動特性" J.Ceram.Soc.of Japan. 106. 1110-1113 (1998)
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[Publications] 坂井悦郎、大場陽子 他: "カルシウムアルミネートの水和反応に及ぼす石灰石微粉末の影響" 無機マテリアル. No.4. 126-131 (1997)
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[Publications] 李〓揆、大場陽子、坂井悦郎: "3CaO,Al_2O_3-CaCO_3-H_2O系の水和反応" セメント・コンクリート論文集. No.51. 38-43 (1997)
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[Publications] 李〓揆、大場陽子、坂井悦郎、大門正機: "3Cao,Al_2O_3-CaSO_4,2H_2O-CaCO_3-H_2O系の水和反応に及ぼす二水セッコウの影響" 無機マテリアル. No.5. 194-199 (1998)
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[Publications] 坂井悦郎、市川牧彦、大門正機: "石灰石微粉末の特性とその利用" コンクリート工学. 36. 3-9 (1998)