1998 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリート構造物の経時的な性能低下過程の定量化に関する基礎的研究
Project/Area Number |
09650511
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
武若 耕司 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (10155054)
|
Keywords | コンクリート構造物 / 長期性能 / 性能低下 / 劣化予測 / 塩害環境 / 温泉環境 / 施工欠陥 / 複合劣化 |
Research Abstract |
本研究は、コンクリート構造物を対象として、コンクリートあるいはコンクリート部材の劣化が、耐荷性、耐震性、耐疲労性あるいは美観保持性といった構造物の諸性能に及ぼす影響について時間との関係で定量化させることを目的としたものである。本年度に得られた結果を取りまとめると以下のようである。 (a) 昨年度開発した塩害シミュレーション手法を用いて、コンクリートに生じる種々のひび割れが鉄筋腐食に及ぼす影響を定量化することを試みた。その結果、ひび割れ幅が同じであっても、コンクリート自身の品質が異なることによって鉄筋腐食に及ぼすひび割れの影響は異なり、コンクリートの自体の品質が悪くなるほど、(1)腐食発生までの年数に及ぼすひび割れの影響はかえって小さくなること、(2)腐食ひび割れ発生までの年数はひび割れがあるほど早くなること、などの状況を定量的に把握できた。 (b) 鉄筋腐食が鉄筋コンクリート部材の疲労特性に及ぼす影響について、孔食の影響を考慮した鉄筋腐食の進行に伴う梁部材の疲労耐力低下予測式を提案した。また、この式より得られる結果と電食により鉄筋腐食を生じさせた鉄筋コンクリート供試体の疲労実験結果とを比較検討することにより、この式の妥当性を確認した。 (c) コンクリートの一部にジャンカを有する鉄筋コンクリート梁供試体の疲労特性について検討を行った。その結果、(1)静的な耐荷力には大きな影響を与えないようなジャンカであっても疲労耐力の低下に及ぼす影響は大きいこと、(2)ジャンカ部をポリマーセメントモルタル注入などによって補修した場合には静的耐荷力の回復は見込めるものの、疲労耐力の大幅な向上は見込めないこと、などを確認した。 (d) 温泉環境下におけるコンクリートの暴露実験結果から、昨年度の本研究において提案したコンクリート劣化予測式の妥当性が確認された。
|
-
[Publications] 松武進太郎、武若耕司: "鉄筋コンクリート構造物の塩害評価に関するコンピュータシミュレーション" コンクリート工学年次論文報告集. Vol.20,No.1. 197-202 (1998)
-
[Publications] 武若耕司: "劣化メカニズムとリハビリテーション" コンクリート工学. Vol.36,No.7. 6-10 (1998)
-
[Publications] 武若耕司: "鉄筋腐食により劣化したコンクリート構造物の曲げ疲労特性評価に関する一試み" 土木学会第53回年次学術講演会講演概要集「共通セッション」. 258-259 (1998)
-
[Publications] 佐村有人、武若耕司他: "温泉環境下に暴露されたコンクリートの暴露2年間の調査結果" 平成10年度土木学会西部支部研究発表会講演概要集. 716-717 (1999)
-
[Publications] 上原尚也、武若耕司他: "施工欠陥をもつ鉄筋コンクリート梁の曲げ疲労特性" 平成10年度土木学会西部支部研究発表会講演概要集. 746-747 (1999)