直下型地震における高速列車の走行安全限界に関する力学的研究

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09650536
• Research Institution: Shibaura Institute of Technology
• Principal Investigator: 松浦 章夫 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (80267723)
• Keywords: 走行安全 / 耐震 / 動力学 / 数値シミュレーション / 脱線防止 / レールの変形

Research Abstract

1. 研究目的
本研究では,既開発の「振動軌道上の車両走行安全限界を解析するシミュレーション・システム」の適用範囲を拡張することによって,新たに「脱線防止ガードの機能を付加したシミュレーション手法」を開発し,脱線防止ガードの評価法とその最適な設計法を見いだす.これによって,直下型地震における高速列車の脱線限界を向上する一つの手法を提案する.
2. 研究実績
昨年度に開発した脱線防止ガードの機能を付加したシミュレーションに基づいて,円弧踏面化するなどモデルに対して二三の改良を行い,実測地震波形や構造物の振動特性を変化させて脱線限界を算出した.また,直下型地震によって生じた構造物の大変形上の軌道を走行する車両の脱線限界を算出した.これらの結果,軌道の横振動に対しては,脱線防止ガードの効果は顕著に現れないが,脱線防止ガードの設置間隔をレールから60mm程度とすれば,振動加速度において約20%の振幅に対する限界の向上が見られた.構造物の大変形に対しては,これまでの設計標準で示された角折れや変位の許容値に対して2〜4倍の余裕があることが分かった.
3. 今後の研究
脱線防止ガードの効果が構造物の大変形に対して現れる効果を見いだし,まとめとして,直下型地震における高速列車の脱線限界を向上する一つの手法を提案する.

Research Products

• [Publications] 松浦章夫: "地震時における鉄道車両の走行安全" 日本機械学会第6回交通物流部門大会講演論文集. 97-13. 38-43 (1997)
• [Publications] 田中弘紀,杉本達重,松浦章夫: "3次元車両モデルによる地震時の走行安全性に関する研究" 土木学会第52回年次学術講演会論文集. 310-311 (1997)
• [Publications] 松浦章夫: "地震時に起ること" 土木学会構造工学委員会第2回鉄道力学シンポジウム論文集. 2. 45-45 (1997)
• [Publications] 松浦章夫: "Simulation for Analysing Direct Derailment Limit of Running Vechiche on Oscillating Tracks" Structural Eng./Earthquake Eng.JSCE(土木学会論文集 英文). Vol.15 No.1. 19-28 (1998)
• [Publications] 及川祐也,松浦章夫: "大きな変位の生じた軌道上の車両の走行シミュレーション" 土木学会第3回鉄道力学シンポジウム論文集. (1999)