1997 Fiscal Year Annual Research Report
大阪湾と外洋との物質交換に関する研究-紀伊水道で実測されたデータの検討-
Project/Area Number |
09650565
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中辻 啓二 大阪大学, 工学部, 教授 (10029324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 建紀 京都大学, 農学部, 助教授 (30243075)
小野 正順 大阪大学, 工学部, 講師 (80214188)
出口 一郎 大阪大学, 工学部, 助教授 (00029323)
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Keywords | エスチュアリ- / 海水交換 / 物質輸送 / 密度・成層 / 現地観測 / 3次元活動 / 数値計算 / 生態系モデル |
Research Abstract |
大阪湾内の水質を議論する場合において、紀伊水道と接する紀淡海峡、播磨灘と接する明石海峡からの流入・流出フラックスを正確に見積もることが重要である。しかしながら、両海峡の水深は深く、流速も大きいことから、断面内流速の時間変動および一潮汐間積分した残差流分布、および水質を計測することは困難であった。近年、ADCP(音響ドップラー流速計)の開発により、海峡部での観測が可能となりつつある。 1997年8月23日に別途のプロジェクト研究により、紀淡海峡での初めての13時間連続観測が実施された。その結果、(1)流速は鉛直方向に一様な分布を示している、(2)残差流分布から、断面平均として大阪湾から紀伊水道への流出が見られる、(3)窒素のフラックスは一潮汐あたり1トンの流出が認められた。この結果は、1995年夏に紀伊水道の断面計測で得られた1日あたりに200トンの窒素が大阪湾方向へ移流される結果とは大きく異なる。紀淡海峡での流動特性および海水塩分や水温による成層効果を早急に解明する必要がある。 上記の観測結果が示すように大阪湾内の水質を議論する場合において問題になるのは、淀川等河川経由の陸域からの負荷量と、紀淡海峡と明石海峡からの負荷量である。とくに、両海峡での物質輸送過程は重要である。数値予測モデルにおいても可能な限り、実現象を再現することを目指す必要がある、そのためには両海峡の影響が無いと考えられる範囲まで広げた計算領域を設定しなければならない。そのことが計算の格子間隔を広げ、分解能を悪くすることから、海峡部だけを細かい格子網で計算できるネスチング手法の適用を図る必要が生じる。鉛直方向の層の分割においても同様のことが言える。今まで大阪湾で用いてきた3次元バロクリニック流れおよび生態系モデルを改良中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yamane,N.: "Field Data Collection and Modelling for Verification of Ecosystem Model in Semi-Enclosed Osaka Bay" Conference Book of 5 ECM.(印刷中).
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[Publications] Sugiyama,Y.: "Modelling the Baroclinic Residual Circulation in Coastal Seas Under Freshwater Influence" Conference Book of 5 ECM.(印刷中).
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[Publications] 山根伸之: "大阪湾における水質構造の季節変動に関する数値実験" 水工学論文集. 42(印刷中). (1998)
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[Publications] 石塚正秀: "成層化した閉鎖性水域の流動計算へのPOMの適用について" 水工学論文集. 42(印刷中). (1998)
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[Publications] Yamane,N.: "Prediction of Transparency Measured in Osaka Bay Using Hydrodynamically-Dominated Ecosystem Model" 2nd International Conference on Environmental Hydraulics. (発表予定).