1998 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥・半乾燥地域での地面蒸発と塩類集積の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
09650575
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Research Institution | Daido Institute of Technology |
Principal Investigator |
下島 栄一 大同工業大学, 工学部, 教授 (80027276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉川 一郎 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助手 (40273198)
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Keywords | 地面蒸発 / 塩類集積 / 乾燥・半乾燥地域 / 実験 / 数値計算 |
Research Abstract |
本研究は、とくに乾燥・半乾燥地を対象にして、そこでの生起している地面蒸発と塩類集積の関係を実験的・数値計算的に明らかにすることを目的としている。今年度は、実験的研究に関しては、砂層に対して大気側で無加熱・湿潤-加熱・乾燥の気象条件を周期的与え、いわば夜間-昼間での蒸発過程の様子を調べた。また、数値計算的研究に関しては、土壌水への土壌粒子からの溶出過程を含めた水分-塩類移動の計算スキームを完成させた。そして、これを用いて上記の気象条件や前年度の実験条件(温度・湿度一定、熱照射強度一定など)を参考にして、蒸発場での水分・塩類の挙動を詳細に検討した。 実験では、気象条件を周期的に変える前段階として、一様な水分量分布(field capacity)を示す砂層に、温度25℃、湿度20%の大気条件と一定強度の照射条件(550W/m^2)を二ヶ月ほど与えて実験を行って初期条件を作り、これに、気温は不変としたが、周期的(4日)で無加熱・湿潤(65%)一加熱(550W/m^2)・乾燥(20%)の変化を与えた。その結果、砂層内での比較的浅い部分での蒸発-凝結サイクルが蒸発過程に重要な役割を果たし、そこでは顕著な塩類集積が生起することが分かった。具体的には、夜間では、水蒸気が大気側より地面に侵入し、比較的浅い場所(実験では深さ3〜4cm)まで輸送されて凝結し、また下方の深部の水蒸気もその場所まで運ばれ、同様に凝結することが認められた。とくに夜間に入った直後では、一時的ではあるが蒸発が促進された。他方、昼間では、深さ6cmと12cm以深に蒸発域が形成されたが、浅い場所での蒸発が卓越していた。このような実験で見られた蒸発特性は数値計算でも同様に再現でき、また実験では測定できない砂層内蒸発強度分布などの情報が提供でき、現象の理解を深めることができた。
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