1998 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学的手法を用いた活性汚泥法微生物ポピュレーションの評価と下水処理場の機能解析
Project/Area Number |
09650599
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
味埜 俊 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60166098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 弘泰 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (90251347)
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Keywords | 活性汚泥 / 蛍光遺伝子プローブ / プロテオバクテリア / 微生物ポピュレーション / 下水処理場 / FISH |
Research Abstract |
従来はBODの除去を主眼としていた下水処理であるが、今日では富栄養化対策として窒素・リンの除去が求められるようになってきている。処理に求められるレベルが高度になるにしたがい、活性汚泥中の微生物群集を的確に把握し、微生物の持つ処理性能を最大限に発揮させるための方策が求められている。本研究は、近年開発された遺伝子レベルで微生物群集を検出することができる蛍光遺伝子プローブを用い、下水処理場における微生物群集構造を明らかにすることを目的として行った。本手法は培養プロセスを経ずに活性汚泥中の微生物群集構造を直接解明することができるという特徴を持っている。 本研究では、北海道3カ所、東京都5カ所、埼玉県4カ所、および沖縄県3カ所の計15カ所の下水処理場20系列を対象とし、平成9年11月、10年1月、5月、および8月の計4回活性汚泥中の微生物相を調査した。調査には次の6種の微生物群を検出するプローブを用いた。全真性細菌、プロテオバクテリアα群、β群、γ群、グラム陽性高GC群、およびサイトファガ・フラボバクテリア群。 解析した結果、多くの下水処理場においてプロテオバクテリア群(α群、β群、γ群)が優占種であること、また、その中でも特にα群やβ群が大きな割合を占めることがわかった。また、本研究で検討した分類レベルでは、微生物群集構造には地域・気候による違いや処理方式による違いは明確には見いだせなかった。一方、小規模の下水処理場では今回用いた遺伝子プローブでは検出できない微生物群が多く存在することがわかった。多くの処理場で、冬から夏にかけてα群の増加と高GC群の減少が、また夏から冬はその逆の微生物相の変化が見られた。
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