1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650658
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
松本 衛 大阪産業大学, 工学部, 教授 (10031064)
|
Keywords | 凍結、融解過程 / 非定常熱水分移動 / 多孔質固体 / 凍害防止 / 数値解析 / 履歴効果 / 凍結融解解析モデル |
Research Abstract |
(1)凍結条件すなわち摂氏0以下においても、液相水分は存在し、凍結課程、凍結量に支配的影響を与える。対象とする系が、変質をしない限り、非凍結水分の平衡含水量は、加圧条件のない場合と同様、非凍結条件下(摂氏0以上)と基本的に同様の関係を維持するとみなす事ができる。この性質を用い、含氷量は水分保存関係で定まる、すなわち質量保存則を用いて、凍結課程を解析する熱水分同時移動方程式を導出した。圧力系は、独立に算定できるので、変化方程式は、基本的に、圧力一定の場合と変わらない事が、明らかとなった。この方程式の特性を数値解析により検討し、移動境界型の方法により数値解析できる事を示し、差分法による数値計算法を示した。 (2)単層の建築壁体を対象に、外界気象条件が変化する場合について、凍結課程を数値解析により解析した。外界変動が、周期的に変化する場合の、凍結挙動は複雑であるが、次のような特徴を持つ事が明らかとなった。凍結条件が始まる初期においては、凍結は低温側に生じず、壁体条件に応じて壁体内部で生じる事、凍結、融解を繰り返すとともに、凍結する領域は、低温側に進行する。しかし、凍結量の最大値を生じる位置は、必ずしも低温側に生じるとは限らない事が明らかとなった。 (3)凍結課程は、履歴の影響が大きいと考えられる。そのため履歴課程の解析法について検討を行った。ここでは凍結が生じない場合について、解析検討した。平衡関係は独立領域の仮定が成立するものとして取り扱っている。数値解析においては、水分ポテンシャルが大きいほど、独立領域内の刻み量を小さくしなければ、正しく解析できない事、そのため計算に要する計算時間はかなり大きくなる事が判った。含水量(=凍結時は、非凍結含水量)は、その変動量が余り大きくなければ、履歴の影響を無視しても大きな差異は生じない事、したがってかなりのケースで、履歴の影響を無視して算定できる事が明らかとなった。
|
Research Products
(2 results)