1997 Fiscal Year Annual Research Report
京都町家街区木造ストックの修復・再生技術に関する実験的研究
Project/Area Number |
09650666
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東樋口 護 京都大学, 工学研究科, 助教授 (50026366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 清勇 京都大学, 工学研究科, 助手 (50273470)
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Keywords | 木造建物ストック / 京町家 / 修復・再生 |
Research Abstract |
本年度は、これまでの研究成果並びにデータベースをもとに、以下のような事柄について研究を進めた。 1.京都都心部における木造建物ストックの現存状況データベースの構築:これまでに行った悉皆調査の地区(烏丸通〜千本通、丸太町通〜五条通)を拡大し、河原町通〜烏丸通、丸太町通〜五条通で囲まれた地域において悉皆調査を行い、その地区に現存する木造建物ストックの外観や残存状況、および老朽度を把握・分析を行った。その結果、昨年度行った3936軒のデータに加え、新たに3983軒の木造建物データを得え、合計7919軒のデータをもとに現在「木造建物ストックデータベース」を構築しつつある。これまでのところ、建物類型別概要、建物老朽度、伝統的要素保存状態などを把握するに至っており、またそれらの分布をデータベースを元に表現できた。今後これらの成果を元に、街区単位のより詳細な分析を行う予定である。 2.1.の老朽度・耐震性の評価と補強・修復方法の提案:1.で構築したデータベースをもとに、建物の様式、残存改変状況および老朽度から建物の類型化を行った。その結果全体の約37%は「今後何らかの修繕が必要」、また約10%は「今すぐ修繕が必要」という結果となった。また、伝統的要素の残存状況が低くなるにつれ、建物状態(老朽度)もよくない事が明らかになった。本年度はこれと平行して、必要な補強・修復方法の検討も行った。その結果、軸組構法における土壁の補強方法を検討することが重要であるとの認識に立ち、現在在来構法による土壁の耐震性、およびその補強方法として繊維による方法を検討している。今後、これらの補強方法の実効性を検証するとともに、実際に補強・修繕を行う上での施工上・設計上の問題点などについて明らかにする予定である。
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