1997 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国における地域開発と伝統的環境管理システムの整合性に関する研究
Project/Area Number |
09650668
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
増井 正哉 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (40190350)
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Keywords | パキスタン / 環境管理 / 地域開発 / 伝統的市街地 / 伝統式集落 |
Research Abstract |
本研究は、研究計画欄で詳述しているきわめて明快で特徴的な伝統的環境管理システムをもつパキスタン北西辺境州のある集落とその中心都市ペシャーワルの一地区を事例に表記の問題を明らかにし、適正な地域開発のあり方を検討しようとするものである。 対象地は、パキスタンの北西辺境州の集落と都市である。この地域の住民はパタン人で、世界最大の部族社会を形成している。そしてパクトゥヌワレイ(パタン人の掟)と呼ばれる部族慣習法を持つことでも知られている。パクトゥヌワレイは、客人歓待・復讐・女性隔離・年長者への敬意など生活規範のほか、不動産の相続・共有地・共有施設の管理など、環境管理の規範ともなっている。パキスタン国内法よりパクトゥヌワレイが優先される部族社会地域も存在する。 この地域の農村部では、数多くのプロジェクトが実施されているが、プロジェクトが集落の構造を一変させたり、維持管理の見通しのない施設が建設されたり、伝統的な市街地環境管理システムが特徴的であるだけ、本研究の提起する問題が顕在化している。 平成9年度は、ペシャーワルの伝統的市街地内のカケヘラン、ビビジクリの2つの街区(モハッラ)を対象に、伝統的住居の実測調査、居住状況の調査、街区の管理状況の調査を行った。
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