1999 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国における地域開発と伝統的環境管理システムの整合性に関する研究
Project/Area Number |
09650668
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
増井 正哉 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (40190350)
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Keywords | 地域開発 / パキスタン / 環境管理システム / 発展途上国 / 部族社会 / 集落環境 |
Research Abstract |
発展途上国、とくに近年の経済成長がめざましいアジア諸国において、さまざまな地域開発が行われているが、伝統的な住環境の保全と活用の点から見て問題となる事例がきわめて多い。本研究は、明快で特徴的な伝統的環境管理システム(部族慣習法パクトゥウヌワイによる)をもつパキスタン北西辺境州の一集落ノーグラムと中心都市ペシャーワルの一地区(モハッラ)を事例にこの問題を明らかにし、適正な地域開発のあり方を検討しようとするものである。本年度は最終年度として、とりまとめを行った。 1)パキスタン北西辺境州の集落ノーグラムを対象した調査では、EUによるブネール開発計画の概要とその集落への影響、集落の形成過程とパクトゥン族独特の部族慣習法との関連、近年の環境変化と集落の対応について、検討を行った。 2)ペシャーワルのモハッラを対象とした調査では、モハッラの空間構成と個別の住宅の関係、伝統的ファサードデザインと近年の変容について、検討を行ったが、開発と伝統的環境管理システムの関連は、今後の課題として残った。あわせて、 3)ペシャーワル周辺における地域開発を仏教遺跡を中心とした歴史的環境保存と部族慣習法に代表される環境管理システムの関連についても考察を行った。
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[Publications] 増井正哉: "ガンダーラ仏教遺跡の保存と修覆"建築雑誌. 1451号. 98-105 (2000)
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[Publications] 増井正哉他: "路地と中庭-ペシャーワル旧市街地の住居に見る重層的野外空間"ディテール. 143号. 101-108 (2000)
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[Publications] 増井正哉他: "パキスタン・ペシャーワルにおける伝統的都市住居のファサードデザイン"日本建築学会大会学術講演梗概集(中国). E巻. 501-505 (1999)