1997 Fiscal Year Annual Research Report
精神薄弱者更生施設の類型化と知的障害者施設再編成に関する研究
Project/Area Number |
09650672
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
鈴木 義弘 大分大学, 工学部, 助手 (30244156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 正喜 大分大学, 工学部, 教授 (70038438)
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Keywords | 社会参加 / ノーマライゼーション / 障害者 / 知的障害 / 福祉施設 / 更生施設 / 入所施設 |
Research Abstract |
当初予定の大分県下「精神薄弱者更生施設」(以下「更生施設」)18施設(定員1,194名)に加え、入所型授産施設(以下「入所授産」)2施設(定員137名)を対象に、施設訪問と施設活動内容・利用者の実態調査を実施した。「更生施設」中、通所型施設(以下「通所更生」)1施設を除き入所施設(以下「入所更生」)である。本年度の成果を列記する。 ・「入所更生」の高年齢化が顕著で(43.4才)、これは施設設立経過年数との相関が強い。50代以上32.0%、60才以上でも15.6%に達し、これは滞留化の反映である。 ・「入所更生」各施設の障害判定構成比は、既往研究で明らかにした「通所授産」に比べ施設間格差は小さい。また、平均では、中軽度者が4割で(40.6%)、障害の軽い利用者措置の実態もみられた。 施設活動では、従来からの「作業訓練活動」とともに、生活自体を目的とした活動に大別でき、これらの活動集団が複合して構成されている。すなわち、若年者・軽度者の「作業訓練施設化」志向と高年齢・重度者の「生活施設化」志向が認められ、これに施設運営方針などの加わった複合要因によって、施設活動が展開されているが、これに対する建築的空間構成は、収容施設を実体化した旧態依然のものに止まっている。従って、利用者ニーズや将来の施設展開に対する空間構成の実現という建築的観点からは、これらのギャップは極めて大きい。 また、施設設置根拠である「精神薄弱者福祉法」制定から40年近く経過し、安易な施設更改は施設系改善の契機を大きく後退させることが懸念される。以上から、抜本的な施設機能の見直しを念頭においた福祉サービス体系の見直しと、これに基づく施設改善が急務といえる。こうした概要把握に基づき、次年度は典型事例抽出・詳細調査を加え、以下の各点に沿って研究を展開する。 ・利用者のニーズの詳細に解明と、これに対応した計画要件の提示 ・現入所者の処遇、新規措置者の選定基準を含めた施設の将来像の考察 ・「更生施設」に求められる施設機能の再検討・施設体系の見直し
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