1997 Fiscal Year Annual Research Report
阪神大震災で被災した要援護高齢者の生活再建と住宅ニーズに関する調査研究-被災地における要援護高齢者向けケア付き住宅の必要性とあり方
Project/Area Number |
09650688
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
児玉 善郎 産業技術短期大学, 構造工学科, 助教授 (80243327)
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Keywords | 阪神大震災 / 震災復興 / 地域型仮設住宅 / ケア付き住宅 / 住宅再建 / 要援護高齢者 / 在宅支援サービス |
Research Abstract |
阪神・淡路大震災後、神戸市において設置された高齢者・障害者向けの地域型仮設住宅をとりあげ、1997年11月から12月にかけて、地域型仮設住宅での生活実態と今後の生活意向に関する面接ヒアリング調査を6ヵ所の仮説について実施し、160ケースの有効回答を得た。その結果の分析から以下の点が明らかになった。 1.神戸市地域型仮設住宅の果たした役割と意義 被災地の中でも被害が大きく、被災者の数が多かった神戸市において、市街地に地域型仮設住宅が1500戸供給され、運営されてきたことの意義は大きい。特に、入居者は、生活援助員が日中いてくれることを高く評価しており、一般の仮設住宅では果たし得なかった役割と意義を有していることがわかる。復興公営住宅において、同様の居住者サービスが必要であることを示唆している。 2.神戸市地域型仮設住宅の問題点 (1)生活援助員の配置・運営システムの問題 生活援助員が平日の日中しか常駐していないことにより、夜間あるいは土曜、日曜等の入居者間のトラブル等の発生に対応できていない。そのことにより、入居者と援助員との人間関係、入居者同士の人間関係をよりよく保つことに困難を生じている。 また、一人の生活援助員が一つの仮設住宅地をまかされている。多様な入居者がいる中で、一人ですべての人に対応することは、客観的かつ適切な援助を行う上で無理があり、トラブルを生じる一因となっている。 (2)地域型仮設住宅の物的環境の問題 個室にトイレがないこと、簡単な流し(ミニキッチン)がないことが、共同生活上のトラブルの最大の原因となっていることがわかった。各住戸に生活する上で最低限必要な設備が備わっていることが、共同住宅においてよりよい人間関係、入居者同士の助け合いを育む上で重要であることを示している。 また、気軽に集まり、くつろげる空間が必要である。ふれあいセンターが別棟になっている場合が多く、イベントやサークル活動には利用されているが、日常的に何気なく入居者同士が語らい、交流する場となっていない。 以上のような問題点をふまえ、復興公営住宅における高齢者・障害者向けの住居者サービス運営を検討する必要がある。
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