1997 Fiscal Year Annual Research Report
分譲集合住宅ストックの価格形成要因と低価格化が管理と生活に与える影響について
Project/Area Number |
09650691
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 国立公衆衛生院 |
Principal Investigator |
松本 恭治 国立公衆衛生院, 建築衛生学部, 室長 (30017967)
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Keywords | 中戸価格 / 価格低下率 / 住宅市場の後退 / 老朽化 / 相体的低水準化 / 地盤沈下 / 空き家化 / 修繕積立金の滞納 |
Research Abstract |
本年度は(1)首都圏に於ける中古価格の変動に関する調査、(2)首都圏における公的分譲集合住宅管理組合を対象とした維持管理に関するアンケート調査の2つの調査を実施した。具体的には以下の通りである。 (1)中古価格変動に関する調査分析 分譲住宅の中古価格は「住宅情報」、「公共住宅」等の市販雑誌に掲載されているデーターを利用し、団地別住宅型別に昭和51年から平成9年10月時点までの経年の変化を追った。全体的な価格変動の流れをつかみ、ここでは特に極端な地価高騰が生じる前の昭和57年10月時点、地価高騰のピーク時である平成2年10月、地価が低落した最新時点の平成9年10月のデーターを対象として分析した。平成2年10月時点の中古価格を100とした平成9年10月時点の価格(N=275)は60%から25%程度の幅に分布した。小規模かつ都心より遠隔地にあり、さらに最寄り駅までバス利用の住宅で価格低下の傾向が激しかった。遠隔地で極端に価格低下した理由は、需要が都心に回帰したため。 (2)管理組合対象のアンケート調査結果 昭和40年から55年までに管理開始した181の管理組合に郵送配布し、107(総戸数60616戸)の有効回答を郵送で得た。小規模住宅でかつ遠隔地に立地する分譲住宅の価格低下状況は(1)の調査同様の結果を得たが、これら住宅では空家化や管理費等の滞納が増加し、また遠隔地にある住宅ほど修繕積立金徴収額、駐車場の戸当たり収益が低く現れた。初期の分譲集合住宅は地盤沈下による被害も多く、狭小であることから、建て替え検討団地が平成2年以降も増加している。建て替え運動の長期化によって、大規模修繕が見送られて,漏水、外壁剥落、ガス漏れ事故が多発する団地も現れている。住宅価格の低落は今後の維持管理に一層混乱をもたらす恐れが強い。
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Research Products
(2 results)