1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650697
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤岡 洋保 東京工業大学, 工学部, 教授 (40100987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 信子 文化庁, 文化財保護部・建造物課, 文化財調査官
藤原 惠洋 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (50209079)
阪本 是丸 國學院大學, 文学部, 教授 (30162308)
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Keywords | 内務省神社局 / 官国弊社 / 乃木神社 / 建築様式 |
Research Abstract |
今年度は、1)官国幣社営繕費についてのより詳細な調査研究と、2)乃木神社の様式についての研究を行った(いずれも藤岡が主に担当)。 まず、1)については、神社本廳所蔵角南資料だけではなく、国立公文書館所蔵の『公文類聚』や『内務省年報』、さらには神社法規に関して内務省が戦前に刊行した書籍などをもとに、戦前の官国幣社の営繕費について、前年度に引き続き研究を進め、明治10年代まではかなり細かい営繕にまで国費が支払われていたこと、明治20年代前半に各社共通金制度が導入されたが、30年代にはそれが需要に対応できないことが顕在化し、44年度から内務省が大規模営繕のために「臨時神社費」制度を導入したこと、その後も慢性的な営繕予算不足が続いたが、神社制度調査会の答申を受けて昭和10年代前半にはかなり営繕費が増加したことを明らかにした。また、特別保護建造物(昭和4年からは国宝建造物)のうち、官国幣社に関しては、文部省ではなく内務省が営繕を行っており、それは文部省管轄のものと同様の文化財的価値を重視したものであったことを明らかにした。 また、2)の乃木神社は、官国幣社ではないが、大正初期から全国にあいついで創建された神社であって、しかもそれらの様式が異なることから、祭神と神社様式の関係について、どのように考えられていたかを知る上で、興味ある対象と考えられる。明治以降も神社の創建が行われたが、そこでその様式をどうするかが問題になった。明治神宮創建の際にそれをめぐる熾烈な議論があったことはよく知られている。乃木神社は、それを複数の事例について比較検討できる点で注目される。大正年間には那須の乃木神社(大正4年)をはじめ、4つの乃木神社が創建されたが、その経緯を調査しつつ、それらの様式が祭神(乃木希典)の嗜好や、天皇に殉じたことを手がかりに決められたことを明らかにした。
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