2000 Fiscal Year Annual Research Report
松江藩御大工とその作事について(近世出雲地方の建築空間形成に関する研究)
Project/Area Number |
09650710
|
Research Institution | YONAGO NATIONAL COLLEGE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
和田 嘉宥 米子工業高等専門学校, 建築学科, 教授 (90043603)
|
Keywords | 松江藩 / 御作事所 / 御大工 / 作事 / 御大工並 / 系譜 |
Research Abstract |
本研究は、江戸時代の主要な期間(寛永15年〜享和2年)における作事組織の推移、藩政と対応しながら作事組織が変動する傾向、「普請手伝」をはじめとする幕府との作事関係、御大工の役割、又彼らが関与した作事の特徴等を明らかにしながら、江戸時代における地方の作事組織の実態と組織形態の特色を考察することを目的としていたが、明らかにできたのは具体的には次の事項である。 (1)『御作事所御役人帳』(以下『帳』を基礎史料として扱っているが、この史料が近世作事組織の実態を明らかにできる貴重な資料であることが確認できた。 (2)『帳』や絵図史料によって、御作事所が藩の施設を運営管理するのに重要な役所として位置付けられていたことが確認できた。 (3)御作事所には作事奉行、御大工、御役人、城普請から小夫など、多様な人材が配置され、分けても御大工の存在が重用されていたことを明らかにできた。 (4)御作事所が関わった作事について検討し、松江藩御作事所の活動内容について概観した。 (5)御作事所の主要な役職である御作事奉行、御大工、城普請等について役職と格式との関わりについて検証し、役職と格式が密接に対応していることが明らかになった。 (6)御作事所での中心的な存在は御大工であることを明らかにした。 (7)松江藩御大工の系譜をいくつか辿ることによって御作事所における御大工の位置付けとその推移が一層明確になった。 以上の研究成果を、研究成果報告書「松江藩御大工とその作事に関する研究」として上梓した。
|
-
[Publications] 和田嘉宥: "三谷家住宅について(松江藩御大工の研究 その5)"日本建築学会中国支部研究報告集. 23巻. 721-724 (2000)
-
[Publications] 和田嘉宥: "享保3年召抱御大工並の推移(松江藩御大工の研究 その6)"日本建築学会2000年大会(東北)学術講演梗概集. F2. 129-130 (2000)
-
[Publications] 和田嘉宥: "松江藩における御大工の位置付けとその推移(松江藩御作事所と御大工の作事の作事に関する研究 その2)"日本建築学会計画系論文集. 544号. (2001)