1997 Fiscal Year Annual Research Report
B2型TiNi合金の変形挙動に及ぼす加工誘起変態の影響
Project/Area Number |
09650723
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西田 稔 熊本大学, 工学部, 助教授 (90183540)
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Keywords | B2型金属間化合物 / Ti-Ni合金 / 変形双晶 / 形状記憶効果 / 超弾性 / 単斜晶マルテンサイト / 加工誘起変態 / 逆変態 |
Research Abstract |
「B2型TiNi合金の変動挙動に及ぼす加工誘起変態の影響」に関して研究を実施し以下の成果が得られた。TiNi合金の延性はマルテンサイト相が安定な温度域、すなわち、応力誘起変態が起こる温度(Msσ)以下では40%以上の破断伸びを示し、ひずみ誘起変態が起こる温度域以上で20%程度の減少する。マルテンサイト変態終了温度(Mf)以下で試料を変形すると、ひずみ量の増加に伴いまずマルテンサイトの格子不変変形である<011>TypeII双晶及び兄弟晶界面の移動が起こり(100)及び(001)複合双晶が生成する。さらに変形を加えると(20-1)複合双晶が生成する。この双晶は本研究で初めて見い出されたものであり、そのせん断変形量s=0.4250と大きく、また、以上の3つの双晶の存在によりすべり系が増加することが延性発現の原因と考えられる。変形開始時に母相であるが応力負荷によってマルテンサイトが安定となるMs〜Msσの温度域では最終的な変形組織は上記と同様となり、良好な延性が保証される。Msσ以上の温度域では母相の降伏後、ひずみ誘起マルテンサイトが局部的に発生するがひずみ量が増加しても成長せず、B2母相の変形は<100>{011}系のすべりによってのみ起こるためすべり系が不足し延性が低下することが知られた。スタンフォード大学のGooらはB2母相中に発生した{114}B2双晶が本合金の良好な延性の原因であることを報告しているが、本研究ではこれに反して、マルテンサイト中に生成した(20-1)複合双晶が逆変態後、{114}B2双晶として残留することを電子顕微鏡内その場観察によって確認している。このことは母相←→マルテンサイト相の格子対応から説明が可能である。次年度は(20-1)複合双晶と{114}B2双晶の関連性の詳細を高分解能電子顕微鏡観察などによって明らかにし、「B2型TiNi合金の変動挙動に及ぼす加工誘起変態の影響」を微視的立場から検討する。
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