1997 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリ金属アジ化物を用いた多成分系金属窒化物の合成と結晶化学
Project/Area Number |
09650726
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山根 久典 東北大学, 素材工学研究所, 助教授 (20191364)
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Keywords | アルカリ金属アジ化物 / アルカリ土類亜鉛窒化物 / 単結晶 / 窒化亜鉛基 |
Research Abstract |
出発物質にはBaやSrなどのアルカリ土類金属とZn金属,フラックスのNa金属および窒素源のNaN_3を用いた。これらの原料をArガス雰囲気のグローブボックス中で秤量し、Arガス雰囲気のアーク炉内でNbチューブ中に封入した。電気炉を用いて出発物質を750℃で1h加熱後、6.4℃/hの速度で徐冷した。冷却後、Nbチューブ内のNaフラックスを液体アンモニアを用いて取り除いた。得られた単結晶についてエネルギー分散型X線(EDX)分析で金属元素成分を分析した。単結晶は空気中で不安定なため、ガラスキャピラリー内にArガスとともに単結晶を封入してX線回折を行った。プリセッションカメラで空間群を調べるとともに4軸型自動回折計を用いてX線回折強度の測定を行った。 アルカリ土類金属のうち、750℃からの徐冷によってZnを含む3成分系の窒化物が得られたのはBaとSrだけで、CaやMgではその生成は認められなかった。Sr_2ZnN_2単結晶の大きさは、0.1mm以下であったのに対し、Ba_2ZnN_2では1-2mm程度であった。Baの場合500℃からの徐冷によっても大きさ0.5mm程度の単結晶が得られた。単結晶X線構造解析の結果、いずれの窒化物とも、正方晶系、空間群:I4/mmm、Z=2の同型構造を有し、Sr_2ZnN_2ではa=3.8568(2)、C=12.935(1)Å、Ba_2ZnN_2ではa=4.152(1)、c=13.055(3)Å、であることがわかった。これらの結晶構造は、K_2HgO_2型構造で、[N=Zn=N]^<4->のイオン基を含んでいる。窒素原子はBaまたはSrとZnがつくる六配位八面体内に位置することが判明した。アルカリ金属アジ化物を用いた本研究で、新規多成分系窒化物Sr_2ZnN_2とBa_2ZnN_2の単結晶が750℃条件で合成することができたので、今後は多成分系の元素の組み合わせを拡張して研究を進める。
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