1998 Fiscal Year Annual Research Report
矩形波反応ガス流を用いた反応性スパッターによる薄膜作製
Project/Area Number |
09650729
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
本多 卓也 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 教授 (10016595)
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Keywords | 矩形波 / 反応性ガス / スパッター / DLC / 薄膜 |
Research Abstract |
化学反応のもつ非線形性を利用して、高効率、高制御性の反応性スパッター法の開発および応用を目的とする。平成10年度は、反応系としては鉄基板上にDiamondlike Carbon(DLC)を堆積させた。従来と同じく反応性ガスを矩形波状にスパッターガスであるアルゴンに加えた反応性スパッターを用い、反応性スパッターに特有な反応性ガスによるターゲット板への被毒効果を低減させつつ、生成薄膜の組成の精密制御を可能にすることを目的とした。 DLC膜はすでに超硬バイト上にコーティングされ、市販製品もあるが、よりいっそうの接着強度も望まれている。そのため、傾斜機能材料的組成が変化した中間層を鉄基板とDLC膜との間に堆積させた。このような中間層を間に挟むことにより、より大きな温度差による熱応力にも耐えられるコーティング膜が得られ、より高速なあるいは切削表面精度の向上が期待されるバイトの製作等が可能となる。平成10年度では、このために基礎データ収集を行った。それによれば、3段階の組成をかえた中間層の設定が行いうる条件を見つけ、実際に製作し、組成変化の様子も確認した。 今回製作した3段階組成変化させたDLC膜の接着強度測定の結果は1段階のものと実験精度をこえる変化は見られなかった。これは、作成した薄膜の厚さが使用したはく離試験器の測定限界程度のためであろうと思われる。 なお、反応性スパッターにはターゲット板への被毒効果が指摘されているが、これを減ずる結果を得た。すなわち、いわゆる金属モードと化合物(セラミックス)モードの現出割合を金属モード寄りにし、堆積速度の増加ならびに堆積膜組成の向上を同時に見た。
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