1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650732
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 秀章 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助教授 (60109270)
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Keywords | 高ホウ素酸化物 / 硬質ホウ素酸化物 / 超高圧焼結 / 超硬質物質 |
Research Abstract |
酸化六ホウ素(B_6O)は、ダイヤモンド、c-BNに次ぐ高硬度を有する硬質ホウ素化合物のひとつであり、切削工具やノズル材料への実用が期待されている。しかし、B_6Oは難焼結性であるために緻密な焼結体の作製が困難であり、その機械的・熱的性質はほとんど知られていない。本研究では、易焼結性のB_6O粉末の調製条件を明らかにし、合成粉末を超高圧焼結することによって高密度B_6O焼結体を作製し、焼結体の機械的性質を評価した。 1.B_6O粉末の合成と調製粉末のキャラクタリゼーション 市販の酸化ホウ素(B_2O_3)および非晶質ホウ素を真空脱気処理後、1:16のモル比となるように配合し、エタノール中で湿式混合をおこなった。次に、配合粉末を高純度アルゴンを流通した高温雰囲気炉の磁製ボ-ト内に充填し、1300-1500°C、3-5hの条件で加熱処理を施し、B_6O粉末を合成した。合成したB_6O粉末を洗浄・濾過して得られた粉末のX線回折による評価をおこなった。生成相の同定と格子定数の測定の結果、化学量論組成のB_6O単相粉末を合成するためには、原料粉末の脱気処理と加熱処理の雰囲気制御が重要であることが明らかになった。また、走査型電子顕微鏡観察により、調製粉末の粒子径は1.2〜1.4μmであり、結晶性と分散性のよい均一粉末であることがわかった。 2.B_6O粉末の超高圧焼結による焼結体の作製 上記の方法で調製した微細かつ高純度のB_6O粉末を、1×10^<-5>Torr、600°C,60minの条件で真空脱気処理した。この前処理粉末をガードル型超高圧発生装置を用いて、圧力3-6GPa、処理温度1400-1800°C、処理時間15-30minの条件で高圧高温処理をおこなった。その結果、焼結体の密度および硬度に及ぼす処理圧力の影響は比較的小さく、むしろ処理温度が緻密化に大きな効果を与えることが明らかになった。5GPa、1700℃、20minの高圧高温処理で得られた焼結体はB_6O単相であり、その相対密度は97%、ビッカース微小硬度は3400kg/mm^2に達した。また、B_6O焼結体の破壊様式は粒内破壊であり、その破壊靭性は低く、高靭化のためには他の硬質物質との複合化が必要である。
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Research Products
(2 results)