1997 Fiscal Year Annual Research Report
粒界相の固溶体制御によるサイアロンセラミックスの高温耐食性と環境強度の向上
Project/Area Number |
09650736
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉尾 哲夫 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (70032943)
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Keywords | サイアロンセラミックス / 固溶体制御 / 高温高圧水腐食 / 腐食形態 / 均一腐食 / 孔食 / 耐食性 / 強度劣化 |
Research Abstract |
窒化ケイ素セラミックスに関する高温高圧水特性に関する従来の研究結果から、助剤添加系の粉体粒子焼結体では、助剤の組成、量による粒界相の性状がその耐食性を大きく支配し、孔食で特徴づけられる大きな強度劣化をもたらすことを明らかにした。一方、焼結助剤を用いない化学結合型の焼結体では自己結合の有利さが認められることから、耐環境性の面では緻密体でのこの種の焼結体が有望であることを提示している。そこで本研究では緻密、化学結合型の窒化ケイ素固溶体に着目し、腐食性粒界の完全除去の可能性を指向した固溶体制御による高耐食性サイアロンセラミックスの開発を目的とする一連の実験を行った。 本年度はまず、α-単相サイアロン[Yx(Si,Al)_<12>(O,N)_<16>;x=0.5]と通常の常圧焼結窒化ケイ素[Si_3N_4-Y_2O_3/Al_2O_3]のオートクレーブを用いた高温高圧水環境下での耐水環境特性の評価、比較考察を行って、以下に要約する有用な結果を得た。 1.腐食減量からの耐食性の評価:200〜300℃における高音高圧水下では、窒化ケイ素、サイアロンと共にシリカの溶出を伴う腐食減量を示すが、予測通りサイアロンの方が減量は少なく高耐食性を示すことが分かった。 2.腐食形態の比較:水和腐食層除去後の各基体表面のSEM観察より、窒化ケイ素ではすでに各種助剤系で見出されている典型的な孔食(Pitting Corrosion)を呈するのに対し、サイアロンでは均一腐食(Uniform Corrosion)の形態を呈し、固溶現象による粒界相の低減効果を示唆する結果を得た。 以上、本研究でのα-単相サイアロンでの耐食性の向上が認められる結果が得られた。次年度は、上記二点をさらに詳細に検討すると共に、腐食形態と曲げ強度の関係からも同様の効果を確認するための評価実験を行う予定である。
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