1997 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーアブレイション法による硬質磁性非晶質合金膜の作製と特性
Project/Area Number |
09650753
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹内 章 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (40250815)
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Keywords | 非晶質 / 薄膜 / レーザーアブレイション |
Research Abstract |
我々は、最近、広い非晶質形成組成範囲と大きな非晶質形成能を示すNd-Fe-Al非晶質合金に着目し、その硬質磁性発現機構を検討してきた。その結果、液体急冷法、銅鋳型鋳造法、アーク溶解法の3種類で作製した本合金が、それらの試料厚さに応じて、軟磁性から硬質磁性へ変化する現象を確認した。そこで、本研究では、蒸着法の一つであるレーザーアブレーション法により、Nd-Fe-Al薄膜を作製し、その非晶質生成の可否、試料厚さと磁性の関係を明らかにすることを目的として研究を行った。その結果、本年度では、50μm厚さまでの薄膜試料を作製しに成功した。試料表面は、滑らかな平滑面から成り、X線回折図形はアモルファスに起因するブロードなハロ-パターンが観察された。VSMにより磁気測定を行った結果、例えば、25μm厚さのNd_<60>Fe_<30>Al_<10>合金は、0.11Tの飽和磁化、13.5kA/mの保磁力を示し、同じ試料厚さのリボン状試料の値(0.12T、1.0kA/m)と比較して、保磁力の値が増加する特徴を有している。同様の傾向は、Nd_<70>Fe_<20>Al_<10>でも確認された。この原因は、本手法では原子が逐次積層するため、原子の再配列およびこれに付随する構造的な緩和が、リボン状試料よりも生じ易いためであると考えられる。現状では、硬質磁性を示す非晶質合金膜の作製には、成功していない。しかしながら、本研究の予備実験の過程で、液体急冷法により作製したNd-Fe-Si合金が、冷却速度を低下させた圧肉状で硬質磁性を示すことを見出し、Nd-Fe-Al合金と比較して、硬質磁性を発現するのに、より適した合金系であることを確認した。また、研究代表者が、以前に行った高Fe濃度のFe-Nd-B合金についても、今後、研究対象として実験を遂行して行く予定である。
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