1998 Fiscal Year Annual Research Report
MBEにより作製した磁性薄膜の構造と特性に関する研究
Project/Area Number |
09650765
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
増田 正孝 九州大学, 工学研究科, 助教授 (40165725)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常光 幸美 九州大学, 工学研究科, 助手 (40211974)
|
Keywords | MBE法 / 人口格子膜 / Pt-Co多層膜 / 磁区構造 / MFM |
Research Abstract |
MBE装置によりPt/Co人工格子膜を作製した。成膜中の"in situ"RHEED分析により、膜構造に与える成長速度・基板温度の影響を評価し、最適成膜条件を決定した。シリコン(111)基板上に成膜する条件として、バッファ層に473Kで成膜したPt層20nmが最適であることを見出した。AFMにより薄膜表面形状の精密測定を行い、作製した膜の界面歪、整合性を評価した。薄膜X線回折装置により、膜の構造を精密評価し、人工格子膜としての積層の質の定量化を試みた。MBE装置と超高真空トンネルで連結されたXPSによる組成分析では、膜面垂直方向にnmオーダーで組成変調が形成されたことを確認した。VSMによる磁気特性測定の結果により、膜の人工格子周期、成膜条件による磁気特性の変化を論じた。MFMによる膜表面の磁区構造観察では、Co層周期が大きくなるほど、磁区サイズが減少することを見出した。これは、磁気エネルギーを静磁気エネルギーと磁壁ネルギーの総和で評価することにより説明された。MFMの測定結果は90度磁壁と45度磁壁で囲まれた磁区による静磁場ポテンシャルを境界要素法で計算したものと比較検討することにより、人工格子膜の磁区構造を議論した。申請により購入したホール測定装置を改良し、±5kOeの磁界中でホール特性だけでなく巨大磁気抵抗効果を計測可能なものとした。界面構造の変化により磁気特性が大きく変化することを確認し、MBE法だけでなく、スパッタ法で作製した膜でも検討を進め、グラニュラー構造の薄膜での磁気特性も論じた。燒鈍により界面構造を変化させたときの磁気特性、X線回折構造測定を行い、傍証とした。
|