1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650769
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
広瀬 洋一 東海大学, 工学部, 教授 (90049726)
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Keywords | ダイヤモンド / ダイヤモンド結晶 / 平板状ダイヤモンド / ダイヤモンド合成 / ラマン分光 / 偏光 / 結晶方位 / 結晶面 |
Research Abstract |
本研究はCVD法(化学気相成長法)を用いて大型平板状ダイヤモンド結晶の合成と高品質化および成長条件の確立と生成率の向上を目的としている。本年度は1)基板材質の依存性と成長条件、2)偏光ラマン分光法を用いた平板状ダイヤモンドの結晶性の評価について検討した。この研究に関連する実験として3)ダイヤモンドを陰極に用いた直流プラズマCVD法でダイヤモンド薄膜の析出に成功した事である。 1)基板材質の依存性と成長条件についての結果。用いた基板材料はセラミックスと金属であり、具体的にはシリコン、窒化シリコン、アルミナ、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、白金、鉄、タングステン、モリブデン、タンタルである。その結果、銅を基板として用いると、最も平板状ダイヤモンド結晶の生成率が高く、高品位であることが判明した。成長条件の最適値はアセチレンと酸素のガス比が0.95〜0.99、基板温度は750℃であった。 2)偏光ラマン分光法を用いた結晶性についての結果。ラマン分光法は非破壊、真空が不要、微小領域の測定が可能、短時間で解析が可能などの特長を有している。そして、偏光ラマン分光法の偏光角度依存性から平板状ダイヤモンド結晶の上面が(111)面であるという直接的な証拠が初めて得られた。また、特別な前処理をしなくても(111)基板上の原子配列に沿って平板状ダイヤモンド結晶が方位整合して成長するということを明らかにした。さらに、半値幅とラマン強度の比を算出することで、ダイヤモンド自身の結晶性を詳細に評価できる事を見いだし、天然ダイヤモンドと高温高圧法で合成したIb型ダイヤモンドのランク分けに有効である事が分かった。 3)ダイヤモンドを陰極に用いた直流プラズマCVD法でのダイヤモンド薄膜の合成。ダイヤモンドから電子が多量に放出する現象を見いだし、これを積極的に利用し陰極に用いた。低い放電電圧で直流プラズマを形成でき膜質の良いダイヤモンド薄膜の合成が出来る。
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