1998 Fiscal Year Annual Research Report
電気泳動電着法による超耐アルカリ性ゾル/ゲル皮膜の新コーティングプロセスの開発
Project/Area Number |
09650774
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Research Institution | DEPARTMENT OF MATERIALS SCIENCE AND ENGINEERING MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
平井 伸治 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (10208796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋影 和宜 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (70005346)
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Keywords | アルミニウム陽極酸化皮膜 / ゾル / ゲル被覆 / ジルコニウム酸化物 / 電気泳動法 / 紫外線照射 / 超耐アルカリ性 |
Research Abstract |
Al陽極酸化皮膜の耐アルカリ性を向上させるために、紫外線照射を利用したゾル/ゲル法による常温におけるZr酸化物被覆と、そのZr酸化物被覆層の厚膜化を図るためのゾルの電気泳動法について検討した。紫外線照射を利用したプロセスでは、ゲル膜中残留有機物を光励起反応により分解・除去することにより緻密化を図り、一方の電気泳動法を利用した方法では、強制的にゾル中コロイド粒子を基板に泳動・電着させることによる被覆層の厚膜化を図った。ディップコーティング法によりゾルへの浸漬と紫外線照射を繰り返しながら常温にてコーティングした場合、7〜8回のコーティングにおいて、従来の573Kにて加熱した皮膜をも凌駕する超耐アルカリ性皮膜が得られた。この原因として、皮膜中のNaOH水溶液の侵入経路となる微細な欠陥において、化学的に安定な腐食生成物の形成と溶解の重畳による自己修復効果によるものと考察した。次に、ゾルの電気泳動と常温の紫外線照射を組み合わせてコーティングした場合、被覆による基板の単位面積当たりの質量増加を表わした被覆量はHelmholtz-Smoluchowski式に従い、電位勾配、印加時間及びゾル溶液中のアルコキシド濃度の増加とともに増大した。例えば、100V/cmで1.8ksの電気泳動により作製した皮膜は、従来の573Kの加熱処理を行いデイップコーティングを8回繰り返して作製した皮膜とほぼ一致する被覆量に達した。また、この電気泳動法において、基板側を陰極とした場合に被覆量が増加した原因として、ゾル中の微量の水が分解されて発生したH+がゾルを構成するコロイド粒子に吸着し、これらのコロイド粒子が陰極基板上に析出するものと考察した。なお、電気泳動法による複合皮膜断面のFE-SEM観察の結果、被覆層の厚さはディップコーティング法より電気泳動法の方が薄くなったが、陽極酸化皮膜の多孔質層においてかつてないZr酸化物の充填が観察された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 平井伸治: "ゾル/ゲル法による金属材料への耐食性被覆" 表面技術. 50・2. 175-181 (1999)
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[Publications] S.Hirai: "Alkaline Corrosion Resistance of Anodized Aluminum Coated with Zirconium Oxide by a Sol-Gel Process" J.Am.Ceram.Soc.81・12. 3087-3092 (1998)
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[Publications] S.Hirai: "Zirconium Oxide Coating on Anodized Aluminum by Sol-Gel Process Combined with UV-irradiation at an Ambient Temperature" J.Am.Ceram.Soc.
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[Publications] S.Hirai: "Sol-Gel Coating on Anodized Aluminum by Electrophoretic Deposition Method" J.Am.Ceram.Soc.