1997 Fiscal Year Annual Research Report
非定常系における孔食の発生・成長・再不動態化に関する研究
Project/Area Number |
09650775
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
八代 仁 岩手大学, 工学部, 助教授 (60174497)
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Keywords | 孔食 / ステンレス鋼 / 再不動態化 / 塩化鉄(III) / カソード分極 |
Research Abstract |
塩化鉄(III)水溶液中に浸漬した、SUS304ステンレス鋼上に発生する孔食の深さの経時変化と、電位変動の関係を明らかにした。塩化鉄(III)濃度が比較的高い場合は、孔食深さは時間の平方根に比例して深くなるが、塩化鉄(III)濃度が低くなると、孔食発生・成長・再不動態化に伴う電位変動が観察され、変動回数は、孔食個数とほぼ一致した。 自由腐食下で任意の深さに成長させた孔食に対し、所定時間、所定電位に保持してから電位を解放すると、その後の電位応答挙動から孔食が再不動態化したか否かを決定できた。孔食の再不動態化条件を、孔食深さ、保持電位、保持時間の関数として測定し、自由腐食下での再不動態化挙動と比較した。 アノードとカソードと人為的に分離して短絡することで、孔食発生・成長・再不動態化に伴う電位と電流を同時に測定し、これが、ステンレス鋼上の鉄(III)イオンのカソード分極曲線と重なることを見いだした。また、孔食体積は短絡電流の電気量とほぼ一致した。 ステンレス鋼上における鉄(III)イオンのカソード還元挙動を測定してコンピュータに入力し、この特性に従ってポテンショスタットを制御することで、「仮想カソード」をほぼ実現できた。このコンピュータ制御されたポテンショスタットを用いてステンレス鋼を分極すると、孔食・発生・成長、再不動態化に伴う電位変動がほぼ再現できた。またこの時の電位-電流の関係は、短絡試験における結果とほぼ一致した。
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