Research Abstract |
金属同士の接合性を確認するため,Au箔,Ag箔,Cu箔,Al箔,Ni箔,Fec箔を用いて,相互の接合性を調べた。その結果,同材では接合性は良好であったが,異種材では良好な接合を示した組み合わせは限られ,特にAgとの接合性は不良であった。次いで,Siとの接合性を確認したが,Au箔及びAl箔で良好な接合が行われた。しかし,Al箔の場合は接合強さのばらつきが大きかった。このばらつきの原因として,接合面の酸化被膜の影響が考えられたので,この被膜の除去を目的として,Siを弗酸に24h浸漬し,またAl箔を異なる濃度(0〜10kmon/m^3)のNaOH水溶液に種々の時間(0〜10min)浸漬し,その影響を調べた。その結果,Siの表面処理の影響は見られなかったが,Al箔をNaOH水溶液へ浸漬することにより各接合条件における最低接合強さが高くなるとともに,接合強さのばらつきが低下した。なお,接合性に及ぼすNaOH水溶液の濃度及び浸漬時間の影響は明確には認められなかった。この接合性の向上は,表面処理したAl箔表面のSEM観察より,NaOH水溶液によって酸化膜に微細孔が生じて接合時の剥離性を高めたためと思われた。次いで,2Pa程度の減圧下でSiとAl箔との超音波接合実験を行ったが,接合強さ及び強さのばらつきに向上は認められなかった。さらに,Si表面にAuをスパッタリングして,Al箔との接合実験を大気中で行った。その結果,Au膜の厚さの増大に従って接合強さは増大していったが,破壊はAu膜とSiとの界面で生じ,接合強さはAu膜の強さとSi/Au界面の強さに依存することが分かった。以上の結果より,表面処理を施してSiと金属箔との接合性を改善することにより,Si/金属の超音波接合における接合強さの向上が可能であることがわかった。
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