1998 Fiscal Year Annual Research Report
金属間化合物TiAlの低酸素分圧下における酸化拳動の解明
Project/Area Number |
09650782
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
吉原 美知子 横浜国立大学, 工学部, 助手 (70111705)
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Keywords | 金属間化合物 / TiAl / Z相 / アルミナ形成 / 酸素固溶 / 低圧酸化 / 皮膜安定性 |
Research Abstract |
金属間化合物TiAlは大気中では著しく酸化されるが、これを低酸素分圧下で熱処理すると、表面に連続したAl_2O_3皮膜が形成され、耐酸化性は大きく改善される。Al_2O_3皮膜の生成には低圧酸化中にAl欠乏相として酸素固溶度の高いZ相が形成されることが大きく寄与していることを昨年度の研究で明らかにした。 本年度の研究では、Al欠乏相としてどのような相が形成されるかで耐酸化皮膜が生成するか否かが左右されることを確認する目的で、Ti-Al系のAl高濃度の金属間化合物を溶製し、低圧下で酸化し、その後の酸化挙動を大気中酸化の場合と比較検討した。その結果、Al欠乏相として酸素固溶度の高い相が形成されないAl高濃度試料では低酸素分圧下熱処理による耐酸化性改善効果は認められず、未処理の試料と繰返し酸化挙動に変化はなかった。この結果からも低酸素分圧下熱処理で保護性の高い連続で緻密なAl_2O_3層が形成されるためにはZ層のような酸素固溶度の高い相が大きな役割を果たすことが確認された。 また、このようにして形成された保護相の安定性を調べるため、低酸素分圧下熱処理後の試料表面にビッカース微小硬度計を利用し、50g〜1kgの荷重で圧痕をつけた。この表面近傍をSEM観察した結果、圧痕内には亀裂が見られるが、周辺への影響はなく、皮膜はかなり安定であると推測された。また、このような圧痕のある試料を繰返し酸化した場合でも耐酸化性改善効果は圧痕のない場合とほとんど差はなく、皮膜は外部からの損傷に対して安定であることを確認した。これは圧痕部では外部から加えられた変形により表面付近に転位が導入され、Al_2O_3が生成しやすくなり、酸化皮膜の修復機能が働くためと推測される。
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