1998 Fiscal Year Annual Research Report
Cu添加FeSi系熱電素子材料の開発と精密鋳造法による燃焼型モジュールの試作
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09650809
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山内 勇 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60029189)
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Keywords | 熱電材料 / Fe-Si合金 / ゼーベック係数 / エネルギー変換 / 共析変態 / Maxwellの式 / 性能示数 / フォノン散乱 |
Research Abstract |
Fe_2Si_5基合金にCuを0.2at%添加した場合、Cu無添加に比べβ化が著しく促進されることを見いだした。通常の凝固鋳造条件ではCuは0.2at%の添加によって、P型ドーパントであるMnを1at%添加した場合に,800Kで約2分でβ化が完了し、無添加の場合の約6時間に比べて大幅に短縮した。更に600℃でも約3時間で完了し、無添加の場合の10日以上に比べて、遥かに短時間でβ化が終了した。この特徴を更に活かした鋳造で熱電モジュールを作成する場合に懸念される分散Si粒子の熱電特性に及ぼす影響について熱電能、熱起電力および熱伝導率を測定した。その結果、通常のSi粒子は電気抵抗を上昇させ、熱電特性として不利になるが熱伝導率は微細に析出したSi粒子によるフォノン散乱効果で、低下し、熱電特性を向上させた。Si粒子を絶縁体と見なしても、粒子分散材料の電気抵抗を推定するMaxwellの式によって推定すると、Si粒子の体積率から上昇は1.45倍が上限であり、一方、フォノン散乱による熱伝導率の低下は2倍以上になるので、性能指数はβ+Si2相組織で、Si粒子の形態と大きさを制御することにより向上することが分かった。また、鋳造時の割れを防止するためには微量のAU添加が効果的であることが明らかになってきた。また、パイプ状のモジュールを作成し、燃焼ガスを流し、先端で着火燃焼させる方法により、安定して熱起電力を取り出せることが可能であった。 以上得られた結果から、Cuを微量添加したFe_2Si_5組成合金を新たな熱電材料としても性能の劣化は殆んどなく、本研究によって燃焼型モジュールの作成の見通しは高まったと言えよう。
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[Publications] I,Yamauchi,T.Okamoto,A.Suganuma,I.Ohnaka: "Effect of Cu addition on the β-phase formation rate in FeSi,thermoelectric materials in Fe_2 Si_5,thermoelectric materials" Journal of Materials Science. 33・2. 385-394 (1998)