1997 Fiscal Year Annual Research Report
過電圧による電解鉄族金属子機能性薄膜のメゾスコピック構造の制御
Project/Area Number |
09650811
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
秋山 徹也 九州産業大学, 工学部, 教授 (10136517)
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Keywords | コバルト / 電解析出 / 過電圧 / 結晶配向性 / 分極曲線 |
Research Abstract |
本年度は,鉄族金属として六方晶金属であるCo,また電解液として最も単純な硫酸塩浴を用い,その電析挙動および電析物の結晶配向性を調べた。 まず,浴温40°CにおいてCo電析の分極曲線を測定したところ,約-0.6V(vs.Ag/AgCI)から電析が始まり,Co電析には0.15V程度の初期過電圧が存在することがわかった。さらに、電析開始後のTafe1勾配も,Cu,Zn等の正常金属と異なり,高い値を示し大きな反応抵抗を示した。また,浴温を5〜80°Cの間で変化させCo部分分極曲線を測定したところ,これらの過電圧は温度の低下とともに大きくなり,浴温5°Cにおいては,0.4V近くにも達することがわかった。次に,浴温40°Cにおいて,種々の電流密度で得られた電析Coの結晶配向性をX線回折法により調べた。その結果,低電流密度では最密充填面である(002)面の配向性指数が高いが,電流密度の増加とともに(002)面と垂直な(110)面の配向が顕著になった。また,100A/dm^2の高電流密度では,拡散限界下の粉末状電析となるためか,ほとんど結晶面の配向は認められなかった。浴温を80°Cと高くした場合,40°Cの場合に低電流密度域の(002)面の優先配向が認められる領域が大きく広がり,(110)面の優先配向がほとんど認められなくなった。一方,浴温5°Cにおいては,80°Cの場合と全く反対の傾向を示し,全電流密度域にわたって(110)面の配向性指数が大きな値を示した。 以上の結果からCo電析における配向性は過電圧に大きく依存することがわかった。すなわち,過電圧が小さい場合には六角柱結晶が六角形底面を電極素地に平行に成長するのに対し,過電圧の増加とともに六角柱が傾き,高過電圧下の電析物は六角柱側面が電極素地に平行に配向した。
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